感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
haikaino
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サドの潤み目2019/07/15
山がち
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古井由吉にしては、やたら辛辣ではないかと思ってしまった。世の中、社会に対して。ひいては個々の人々に対して。『人生の色気』では、ただそういうものだと眺めていたものが、ずっと批判的な言葉を用いていて、厳しい。この頃の小説を鑑みても、ここまで社会批判は滲んでいないように思っていただけに、このような意識が小説に眠っていたのかもしれないと思うと背筋が凍るような思いになる。人が生きることの、そういうものかと眺めて読んでいたものが、むしろ積極的に苦い所へと流れていくようなところを暴いているような心地がして落ち着かない。2013/12/20