講談社文芸文庫
動物の葬禮・はつむかし―富岡多惠子自選短篇集

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  • サイズ 文庫判/ページ数 281p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784061984325
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

二十代に詩を書き始め、三十代で「うた」と訣れ小説家に。生まれ育った大阪の言葉がもつ軽妙さと批評性を武器に、家族、愛、性の幻想から「人間という生き物」を解き放ちつつ現代文学の尖端でラジカルな表現を続ける。孤独な青年の死を周囲のドタバタ騒ぎに映して鮮かに浮き彫りにする「動物の葬禮」、親を殺し子を捨てる男の衝動を実存の闇として描く「末黒野」等、著者自選の九篇。

著者等紹介

富岡多惠子[トミオカタエコ]
1935・7・28~。小説家、詩人。大阪市生まれ。大阪女子大英文科在学中に小野十三郎に師事、58年「返禮」でH氏賞、61年「物語の明くる日」で室生犀星詩人賞。70年代から小説に転じ、74年『植物祭』で田村俊子賞、『冥途の家族』で女流文学賞、77年「立切れ」で川端康成文学賞、97年『ひべるにあ島紀行』で野間文芸賞を受賞。近年は評論に新境地を拓き、2005、6年『西鶴の感情』で伊藤整文学賞、大佛次郎賞の両賞を受賞する等、高い評価を得ている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

A.T

22
1972年〜92年までの20年にわたる小説家自身の変化も見てとれるが、変わらない目線もある。それは生きていく人間の変遷への興味というのか、人間の謎の部分を追求する姿勢、批評眼というのか。「雪の仏の物語」は明治維新前まで続けられてきた即身仏の風習を妄想するうちに、当時の関係者と同じ名前の人物と出会うことでミイラが現代に蘇ってきたかのような、奇妙な世界へ迷い込むような… これって筒井康隆のSF作品「エロチック街道」にも似てる。2024/02/04

あ げ こ

16
どっと疲れる。疲弊する。うんざりする。とてつもなく嫌になる。目の当たりにして。休みなく見せ付けられ続けて。蠢く様を。群生する様を。棲息する様を。それも剥き出しのままの。何も身に付けておらず、粗暴で、野卑で、汚れたままの。無気力で、愚かで、病んだままの。乾いたまま、荒んだままの。えげつない。おぞましい。ぞっとする。元も子もない。いかなる幻想も入る余地はない。強烈な印象。物凄く力を持っている。ずっと残り続ける気がする。ずっと忘れない気がする。なんてものを書くのだろうと思う。富岡多惠子は恐ろしいものばかり書く。2018/06/24

7kichi

4
様々な編集本にて作者の諸作には触れてきたが、「末黒野」には凄まじさを感じる。2015/08/04

サラ.K

2
あんのたっぷりつまった饅頭のように、みっちりとした本。読みごたえ、噛みごたえあり。とてつもない才能である。年を経てもその切れ味が鈍ることはない。もっとはやく出会いたかった。いや出会えたことに感謝か。2012/03/09

isbm

0
★★★2022/04/10

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