内容説明
八代目竹本都太夫を父に持つ著者は、新聞記者を経て文筆生活に入った。東京浅草に生まれ、久保田万太郎に心酔し、卓越した鑑賞眼で寄席・下町の世界を描く。伝統芸に対する鋭い批評、折々に記した下町の風物詩や身辺雑記を情感溢れる語り口で綴った随筆集『雪まろげ』『わたしの寄席』『わたしの東京』『雨の日』『年年歳歳』から表題作ほか二十五篇を精選収録。
目次
東京のまつり
新年・自戒
向島百花園
銀座
都電・牛込見附―赤羽橋
江戸ッ子のくやしさ
そば・青春
納豆
わたしの東京
歳月〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
AR読書記録
2
解説にもあるが、テーマは主に「東京っ子として」「芸の人たち」「人との出会い」の三つ。ただ二つ目と三つ目はかなり近いかな。著者は、「人を全身全霊で好きになれる」人。そうして惚れ込んだ眼で見るから、「芸の人たち」にあるような、ほとんど相手と一体化したような文章を書いても違和感がない。こんなふうに人を尊敬し好きになり、またそれを相手にストレートに伝えられるって、羨ましいな。ところで著者両親、夫婦喧嘩になると、士族出身の母が芸人だった父に「無礼者! 世が世であれば...」などと言っていた、って、なんか面白いな。2014/07/27
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