内容説明
現代文明への鋭い危機意識を二十三の詩に結晶化させて戦後の出発を告げた第一詩集『四千の日と夜』完全収録。『言葉のない世界』『奴隷の歓び』表題詩「腐敗性物質」他戦後詩を代表する詩人田村隆一の文庫版自撰詩集。
目次
四千の日と夜
腐敗性物質
緑の思想
奴隷の歓び
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ステビア
19
よくわかんなかったけど、わかんないなりに楽しみました。ここに感想を投稿している人の中で私が一番不明な読者でしょうね(笑)2015/03/19
Bartleby
17
100回は行かないけど50回は読んでいる。「腐敗性物質」というのは言葉のことだろう。他の記号とは違い言葉は(自然言語は)腐る。いわゆる“現代詩”を読んでいると、通常用いられる言葉の組み合わせにはない組み合わせが生み出すイメージの鮮烈さを楽しむのはいいが、時々AIが作ったのではないかと思われるような、血の通わない詩にでくわす。語のランダムな組み合わせにかけては人間よりAIの方が得意のはず。シュルレアリスムの詩でさえ詩かそうでないかはわりとはっきり分かる。田村隆一は詩だ。でもその理由がいまだにわからない。2022/12/14
ふぁるく
12
詩は詳しくないものの『帰途』を知って、ぐっと惹かれ、それからゆっくりと読み始めた。帰途は、むしろ彼の作品の中では珍しいポピュラーな作品だったのだな、と思うくらい、他の作品からは硬質、暗鬱という言葉が似合う。読み込みが足りず、何が描かれているのか不明なものもあったので、再読もしたいし、他の詩人(谷川さんや茨木さんあたりは教科書で読んだことあるし)にも飛び込んでみたいとも思う2022/05/22
oz
11
初読。本書は現代詩に巨大な足跡を遺した詩人であり翻訳者、田村隆一の第一作品集『四千の昼と夜』を完全収録+自薦詩という構成になっている。自由な詩風は言葉そのものに風雅とか俗とかいう概念はなく、ただその用い方によってそれらは決まってくるのだと語りかけてくるようだった。これぞ現代詩。田村隆一をどれから読もうかと悩んでいる人がいるならば本書から読む事を強く薦めたい。2009/09/08
みーまりぽん
10
正直、掴みきれなかったー 初詩集「四千の日と夜」(1956)、「言葉のない世界」(1963)、「腐敗性物質・恐怖の研究」(1966)、「緑の思想」(1967)そして「奴隷の歓び」(1984)がこの一冊に収められているのだが、84年の作品は色が違うってことだけはなんとか感じたかな。 タイトルとなっている腐敗性物質という言葉は、じつは処女詩集の中の「声」という作品でもすでに使われており、田村隆一さんの初期の根源的なテーマであったのだろうなと思われます。 もいちど読みたいね。2014/12/26