内容説明
『乱世今昔談』をどうしても『ここだけの話』と改題希望した著者の遺志を実現し、遺著『箱の話』と合わせ、花田清輝の常にインターナショナルな、発見的思考の持続を顕彰し、混迷する思想・時代状況を生き、貫いて行く根源力を提示。今日更に重要な意味を加え続ける花田清輝の貴重な一冊。
目次
ここだけの話(演劇における東洋的なもの;雪男について;老人雑話;芸術としての刺青 ほか)
箱の話―永徳・信長・謙信(シャモの図;淫祠の教訓;未来はわれらのもの;恒民無敵 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yunomi
3
花田清輝の本を読むのが好きです。彼が提唱したアヴァンギャルド芸術という概念は、それが果して実現されたかどうかも不明なまま、アヴァンギャルドという言葉だけがひとり歩きし使い尽され、ボロボロにすりきれて世の中の隅っこにほったらかしにされているのかもしれません。でも、時々誰かがそのボロきれを拾い上げて、何かを生み出そうと悪戦苦闘している。晩年のエッセイがまとめられた本書ではどこか達観したような語り口が目を引きますが、それでも彼は時代の傍観者になる事を否定し続けました。彼の意志を、誰かが今でも引き継いでいます。2017/09/20
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