講談社文芸文庫<br> 日本近代文学の起源

講談社文芸文庫
日本近代文学の起源

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  • サイズ 文庫判/ページ数 270p/高さ 16X11cm
  • 商品コード 9784061960183
  • NDC分類 910.26
  • Cコード C0195

内容説明

“歴史主義的普遍性”の基盤を鋭くくつがえし、新たな思考の視座を布置・構築して行く、最も現代的な“知の震源”・柄谷行人の鮮やかにして果敢な知的力業。名著『マルクスその可能性の中心』に続く快著。

目次

1 風景の発見
2 内面の発見
3 告白という制度
4 病という意味
5 児童の発見
6 構成力について

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

mm

32
高橋源一郎さんの日本文学盛衰史を読むと、この本のことを思い出して再読。なんといっても最初の「風景の発見」がインパクトがあった。風景はそこにあるのだが、それを見る主体の内面が無くては、風景が風景として存在することができない。風景としては見えないんだよね。まず、私があって、私に見えるものがあって、やがて私が私をどう見るかになっていく。ある制度が成立すると、それがなかった時には遡って想像するのはとても難しいと言う話は、今となってはめずらしくないけど、30年前には新鮮だったハズ。今回は病気のところが印象的だった。2018/08/17

mm

17
ついに来たよ〜柄谷行人。賢そうな人から「えー!柄谷行人読んでないの?」と鼻先で笑われるみたいなイメージしかなかったので、チョットびびっていました。大丈夫です。ちゃんと読めました。35年位前に発表されたらしく、内容は孫引き曽孫引き位で断片的にかみくだかれたものを所々聞き及んでいるので、目からうろこの新鮮さというわけではありませんでした。が、まとめて読むことで整理のついたことも色々あったし、明日すぐ使えるハッキリ名言も沢山あったので、抜き書きしておこう。2014/10/25

パラ野

12
再読。「告白という制度」と「児童の発見」が個人的課題。登場人物の過去についてなぜ事細かに書かれるのか。小説の形式としての機能不全家庭の中にいる子供の内面的独白の作り物感について、考えるヒントになるわけで。制度によって作られたものとしてのトラウマとかいろいろ。「告白という制度」の性欲に関する部分はノートに整理しておくこと。2014/09/20

東京湾

11
漱石はなぜ「文学論」を書く必要があったのか。本書はそれを端緒に、日本近代文学の成立と構造について解析する。「風景の発見」は正しく近代文学の"起源"を暴く論考であり、風景が見出されるには先んじて「内向」があって、内面の誕生があって初めて風景が生まれるという転倒が興味深い。その「内面」の発見については言文一致体の誕生に起因するものであるというのも面白かった。如何せん知識不足で理解が及ばなかった点が多々ある。日本文学読解にあたり重要な書であることは間違いないので、いずれ読み直したい。2020/04/20

冬佳彰

10
うーむ、恐らくこの評論の中に入っていたと思う、森鴎外の「阿部一族」に関して。俺は、この評論の前に「阿部一族」を読んでいなかった。んで、評論を読み、かなりイヤな気持ちになったのを覚えている。しかしまあ、それは、近代に基づいた人間観であり、「阿部一族」で描かれた時代においては、日常と異常、恒常と非常のようなものの段差を越えることに対する心的抑圧というものはかなり低かったのでは、という推察には大いに頷いたものだ。それが正しい、とかいうことではなく、「人間の精神が、そのようにできていた」という意味において。

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