内容説明
アマテラスとスサノオの関係をはじめとする神話の発想にみる東西両世界の類似性、神をめぐる祭儀や死生観をはじめとして思わぬところに色濃い光明神アフラ・マズダを主神とするゾロアスター教の伝来の影。神々の伝説から青銅器の文様まで多彩な題材をもとにグローバルな視点で日本文化の故郷を探る。
目次
1 時代の謎
2 艶笑譚
3 東と西
4 密儀
5 古代の日本へ
6 解けぬ結び目
7 青銅の迷路
8 カネとタイコ
9 製作者
10 まとめと私説
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
レアル
42
この著者の考察やっぱり好きだわ。記紀なんてものは何かを参考にして書かれたもの。その参考先が朝鮮等であることは納得かな。しかし興味は青銅の方。青銅の中でも銅鐸。かつて銅鐸に刻まれた模様や絵についてハマった事があったが、そんな考察がここに描かれている。そして古墳も読んでいて楽しい。2021/12/02
KAZOO
23
天照大神の話などは艶笑譚のような感じで見ておられます。様々な神様に関するものが南方からの伝来によるという説などもあり、楽しく読めました。よく素人でここまで勉強して書けるものだと感心します。2014/11/28
入江
11
「文献にないからといって事実の推定をしりぞけることはできない。」考古学者の仮説に物語を乗せるのかと思ったら、対抗して自説を述べる清張さん。別の顔を見せてくれます。前方後円墳の形の自説や、室内装飾だといいきったりとかい、いちいち面白い。「~それによって方向を説明する考古学者もあるが、線の引き方は主観によってどうにでもなるし、その『法則』に客観性も科学性もない。たんなる『点』と『線』の遊戯にすぎないのである」なるほど、「点と線」の遊戯ねぇ。2017/10/06
おとん707
8
本巻は前2巻が弥生時代以降の邪馬台国や天皇の起源など人間社会を扱ってきたのに対して縄文時代(なんと7000年も続いた)に遡って縄文土器や銅矛銅剣銅戈といった武器由来の銅器と銅鐸の全国的な分布状況と発生、消滅の時期からそれらが日本に持ち込まれた経緯を考察している。清張はこれらの渡来ルートは複数あり、江南からの直接渡来、朝鮮半島から九州への渡来、中国東北部から日本海沿岸への渡来と考える。そしてそれらは人の移住を伴い日本に持ち込まれたと考える。考古学の話は難しい。清張も次巻は考古学論証は避けたいと言っている。2022/01/24
ランラン
0
経済的にも技術的にも優秀な朝鮮からの人が渡来して、土俗の豪族を支配していく中で、最初は豪族の連合という形をとっていたが、やがて大和朝廷となる様子が示されており、驚きでした。2013/04/13