内容説明
「何とかと煙は高いところが好きと人は言うようだし父も母もルンババも僕に向かってそう言うのでどうやら僕は煙であるようだった。」―煙になれなかった「涼ちゃん」が死んで二年。十五歳になった「僕」と十四歳の名探偵「ルンババ」が行く東京への修学旅行は僕たちの“世界と密室”をめぐる冒険の始まりだった!『煙か土か食い物』の舞城王太郎が講談社ノベルス二十周年に捧げる極上の新青春エンタ。もう誰も王太郎を止められない。
著者等紹介
舞城王太郎[マイジョウオウタロウ]
1973年福井生まれ。2001年、『煙か土か食い物Smoke,Soil or Sacrifices』にて第19回メフィスト賞を受賞し、デビューする
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感想・レビュー
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nobby
110
相変わらず自由で何でもありな文体で体感する疾走感!ポテトチップスおいしー。ボリボリボリボリ…、「阿呆」「ウンコ」「おっぱいとか触んないでね」なんかもう幼稚で直球過ぎる表現がひたすら羅列され、時には数ページに渡り改行無しも多々ある。それでも圧倒的な迫力に思わず読んでしまう不思議…物語が描くのは少年探偵ルンババ12の活躍。数多く向き合う密室殺人は、どれも見立てや残された血文字など面白く引き込まれる。何やら無理くり放り投げられる解決に油断していると、いつのまにか慈愛に満ち溢れた感動的なラストに導かれるのがいい。2018/03/10
コットン
26
エノキが言った『・・・君の心はマダガスカル島の洞窟みたいに広いって訳ね』が何故か笑いのツボで電車内で吹きそうになるのをじっと我慢。ルンババ、友紀夫、エノキのからみのバランスがいい、笑える(殺人やら殺人やら殺人やらが起こるが)青春もの。2012/10/20
ArcCosine
22
舞城王太郎は3冊めかな。初期の作品なだけあって、毒は少なめ。いや、少ないと感じてる時点ですでに僕は毒まみれなのかもしれないけれど。ルンババがいきなり名探偵になってたり、友紀夫が榎と良い感じになってたりなんやかんやストーリィがボンボン進んでいく有様はまさしく舞城王太郎そのもの。これは、ミステリィではなく、ジュブナイルだと僕は思います。2013/05/01
芍薬
21
いゃぁ久しぶりに読むとやっぱり面白いですねぇ。舞城さん。このバーッとした空気感や真面目にくだらない会話とか!ちょっと舞城特集(私の中でのみ)組もうかなぁ。2012/12/04
よっぷぃ@アイコン詐欺
21
『煙~』のついでに再読。愛媛川十三こと奈津川三郎が書いた、“ルンババ12シリーズ”中の一作という捉え方があるが、わたしもこの論に賛成。作中に“三郎”や“奈津川”の名前も出てくるし、愛媛川先生ってば遊び心発揮しすぎですやん?(笑) バカミスは添え物で、メインはあくまでも青春小説って事でいいよね? 密室ってのは何も実際の部屋ばかりじゃなくて、精神的な密室という解釈も成り立つ訳で、みんな閉じ込められたり、閉じこもったりして生きてるのよね。密室に翻弄されたり抗ったりと、懸命に生きる友紀夫たちにシンパシー感じます。2012/10/03