講談社学術文庫
古代国家と軍隊―皇軍と私兵の系譜

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 234p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784061596610
  • NDC分類 392.1
  • Cコード C0121

内容説明

大伴氏などの世襲的武力に支えられた大和朝廷。その武人としての意識は、防人など地方の農民層にも浸透した。この「皇軍」に対し、皇族・貴族の政治的抗争の中から生まれた私的な武力が、平安時代には権門勢家の武力として発展するが、やがて起こる内乱は、権門と訣別した源頼朝によって収束される。軍事力の質的変化から古代日本の変動を解いた名著。

目次

第1章 「皇軍」のなりたち(武人の成長;朝廷と軍隊;国家と軍隊)
第2章 私兵の系譜(私兵の淵源;律令国家と貴族の武力;藤原氏の制覇 ほか)
第3章 武者の世への道(衰える公的武力;貴族政治と武力の種々相;武者の世の成立)

著者等紹介

笹山晴生[ササヤマハルオ]
1932年東京生まれ。東京大学文学部国史学科卒業。専攻は日本古代史。名古屋大学助教授を経て東京大学教授、学習院大学教授を歴任。現在は東京大学名誉教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

月をみるもの

19
秀吉の朝鮮侵略を担ったのは、地方の武将が率いる軍隊の集合であって「日本軍」ではなかった。律令制が発足する以前に、白村江や伽耶で戦ったのも、倭国豪族連合だったと考えるほうが自然。結局のところ、「皇軍」が成立したのは明治になってからってことなのだな。。2020/01/19

kk

10
再読。豪族の連合政権たる倭王権が国制の確立につれて国家の公的な軍事力の整備に努力し、律令制(らしきもの)の下に軍団制を打ち建てるに至ります。しかしながら、体制内部の政争激化と律令体制の侵食の中、軍制面でも、国家よりも権門の、公よりも私のイニシアティブが強まり、全国的な軍事力の組織化は有名無実となっていきます。その経緯を簡潔に説き明かしながら、古代国家の衰退と武家の発展との関係にも言及しています。ちなみに、前回は学生の頃、中公新書で読みました。何十年前だろ。さすがにほとんど何も憶えてませんでした。2019/12/23

ゆの字

2
衛府制度の変遷(概念図)は、六衛府成立までの過程が一見してわかるように整理されていて助かった。恵美押勝が公権を背景にして武力を得ていたため、それを失ったことで武力も失ったというのは、のちの平家も同じ轍を踏んでいることから、よく理解できた。防人から武士の誕生までの流れが素人の自分にも把握できる、よい著書だった。2021/04/20

OKB

2
「序にかえて」でも記されるように、近代日本の軍隊の起源を考えるという問題意識がライトモチーフでありながら、同時に軍事力というひとつのテーマによる日本古代史の歴史叙述としても、非常に完成されていて味わい深い名品という趣がある。いずれ再読したい。2020/10/14

くまきん

2
4年前に一回読んでいるのだが再読。部族的な武力が、律令国家の成立とともに「皇軍」(すめらみくさ)に形を整えたように見せかけて、結局皇族貴族の権力闘争で私的軍事勢力に戻って行く様がよく分かる。それが後の世の「武士」へと繋がるわけだ。古代氏族の資料としても読める。2015/11/06

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/76874
  • ご注意事項

最近チェックした商品