内容説明
日本の豊かな植生を二五〇点に及ぶ写真・図表を駆使して解説した入門書。北海道から南西諸島まで細長く伸びる列島には、亜寒帯から亜熱帯にわたる気候のもとに多様な植物が存在する。その植物を個体としてではなく群落として捉え、分布と遷移を軸に生育環境との密接な関係を解明、自然植生から人為が影響する植生までを網羅した。自然保護や環境問題を考えるうえでも必読の書。
目次
日本の植生帯
垂直分布帯(極相;途中相)
垂直分布の寸づまり現象
照葉樹林帯
落葉広葉樹林帯
常緑針葉樹林帯
森林限界・高木限界・樹木限界
高山帯
雪田の植生
火山の植生〔ほか〕
著者等紹介
沼田真[ヌマタマコト]
1917年茨城県生まれ。東京文理科大学理学部卒業。理学博士。千葉大学名誉教授
岩瀬徹[イワセトオル]
1928年千葉県生まれ。東京高等師範学校生物科卒業。元千葉県立千葉高等学校教諭
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感想・レビュー
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翔亀
53
梅棹忠夫「文明の生態史観」の面白さは、生態学の"遷移"という概念を文明史に適用した点にあるが、日本の植物について本来の遷移を語った本書は、わくわくする。遷移とは、自ら移動できない植物が環境に適応して生きる営みのことなのだ。気温と雨量と地形に適応して進化した何万と言う種が、様々な中間形態を経ながらも、日本ではほぼすべて最終的には森(関東以南は照葉樹林)になる。これを極相という。草原や湿地帯や雑木林もそこに行きつくまでの仮の姿。何千年もかかるけど。道路に生えるオオバコよ、君もいずれは照葉樹林になっていくのか。2015/10/13
Francis
8
日本の植生について手際よくまとめられた本。特に植生の遷移に関する記述が面白い。2016/09/27
くまくま
5
登山などで野に出ることが多く、なんとなく知っていたことがまとまった知識として理解することができて、読んでよかった。弧状に伸びる日本列島、山地など様々な環境要因が豊かな植生を生み出していることが分かった。中でも富士山は若い火山で、独立峰であるため植生が完成していないというのは意外な事実だった。2021/09/26
misui
4
日本の植生に関する基礎文献。各環境の植生の実際を見ることで分布や遷移の基本を学べる。たぶん地質マップや動物の分布などのデータとも合わせると面白さが増すと思う。2018/12/24
phmchb
1
斜め読み2020/01/30