内容説明
ヴェーバーは十九世紀的科学観を克服すべく社会科学の論理的、認識論的諸問題に取り組み、多くの論文を発表した。理念型の導入を提起した有名な「客観性」論文(『社会科学の方法』)もその一つであり、続いて発表された本編はこれを検証、補完し、同論文と対をなす。古代史の碩学E・マイヤーの著作に厳密な批判的分析をくわえ、歴史的な研究の論理的意味を問うヴェーバーの『歴史的の方法』最新訳。
目次
第1章 エードゥアルト・マイヤー説の批判的分析(問題の所在;自由意志と偶然;歴史学の対象)
第2章 歴史的な因果考察における客観的可能性と相当因果関係(「客観的可能性」の理論;相当因果関係)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
なつき
4
『歴史学の方法』読了。マックス・ヴェーバー、祇園寺信彦・祇園寺則夫訳、講談社学術文庫、1998年。なんかいっかいウェーバーもちゃんと通っておきたいなと思って読んだんだけど、これ「客観性」論文(『社会科学の方法』)も読むべきなんですかね。歴史学の捉えかたとしては非常に勉強になった。2018/05/13
富士さん
0
出来事と出来事の因果関係は無数に想定出来て厳密に決定することが出来ないので、一番関係があるに違いない出来事を原因として想定するのがせいぜいである。というのが本書で語られている趣旨だと思いました。これは邦題である歴史学の方法というより、理念型などに見られるように、明晰な正解を求めるのを諦めて、ざっくりとした近似を徐々に精緻にして行くやり方で、ヴェーバー先生全体の基本的なスタンスなのでしょう。学ぶのは既にある答えを見つけ出すことではなく、自ら答えを弁護し、創造する営みなのだ、ということなのだと思います。 2015/11/26
hal
0
流し読み。難解。とにかく最後まで目は通した。2019/08/31
R
0
ヴェーバーがマイヤーの論文に批判を加える形で,彼が考える歴史学の骨格を明らかにしていく。歴史的事件の原因を現代のわれわれから考えて唯一と思われる事象に帰せてしまってもよいのか。例えば太平洋戦争での日本の敗北の原因を,多様な要因があるにもかかわらず,誰かのいつかの決断に結びつけてしまうことは,歴史を単純化してしまい,正確な認識を構築できないのではないか。授業では単純化することはわかりやすくするためによく行うけれど,そういうことはただ暗記しやすくしているだけなのではないか。もっと思考を迷わせるべきではないか。2019/06/06