内容説明
絶世の美女、王女クードルーンが略奪された。王女に許婚者がいるのを知りつつこの暴挙に出たのは、王女に横恋慕するノルマンディーの若き王、ハルトムートであった…。「ドイツのオデュッセー」と評され「中高ドイツ語文学中の最高傑作」とも賞された、『ニーベルンゲンの歌』とならび立つ中世ドイツの傑作長編英雄叙事詩。待望久しい、中期高地ドイツ語原典からのわが国初のオリジナル完訳版成る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マウリツィウス
15
【『王女クードルーン』/Kudrun】「古典主義理論」を『詩学』と提示しないことでの『旧約聖書』『新約聖書(及び外典呼称文書)』を参照した痕跡を訳文時点で垣間見られる。したがって旧約意味を内包している-。『ニーベルンゲンの歌』の可能とした叙事詩構成を尊重した『詩劇』とは『歌』、ドイツ語文法を卓越した見解で知り尽した《仮想詩人》システムに意味が介在しているとも呼べる。よってドイツ語文法を内包-翻訳詩とは本来《翻訳過程》すら知り尽すだろう-。この伝承システムをも計算に入れた遺産はウルガタ訳の呪縛から救済する。2013/10/21
おMP夫人
9
物語としてはヌルくてややパンチが足りなくも思えますが、お花畑的思考であまりにも都合よく進みすぎる展開はツッコミどころ満載で、それを好む方であればかなり楽しめると思います。細かい事を気にしたら、数ページでギブアップする可能性が高いのですが。とはいえ、クードルーン王女の「どんな恨みに対しても、悪意で仕返しをしてはならない」という言葉にもあらわされている寛容さと芯の強さには惹かれます。ゲルマン魂の欠片をポケットにつめて、メルヘン街道をひた走るかのようなドイツ叙事詩。どちらかというと、男性より女性向けに感じます。2012/08/29
ホームズ
1
中世の騎士物語のような叙事詩を期待してしまうとちょっと違いますね。それなりには楽しめるけどヤッパリ物足りない感じですね。2006/02/18
のほほんなかえるさん
0
戦記物。といった印象。ゴチャゴチャ飾らず、あっさりとした感じの文章。控えめな女性のようなドイツ叙事詩でありました。2011/05/14
ホームズ
0
1996年11月22日初読