出版社内容情報
【内容紹介】
豊かな文化を共有するヨーロッパ世界の基盤はどのように形成されたのか。本書は紀元前1世紀のカエサル、タキトゥスの時代から、ゲルマン民族の大移動、西ローマ帝国の没落、イスラムの侵入を経て、紀元後8~9世紀のカール大帝の時代に至る1000年の経過を論述。古代ギリシア・ローマの伝統とキリスト教の世界観、ゲルマン民族の団体意識などの混交による西洋中世社会の成立を明らかにした名著。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
刳森伸一
4
ヨーロッパにおいて中世がいつどのように形成されたかを論じているのだが、肝心な中世の定義をあいまいにしたまま論を進めており、腑に落ちないことが少なくない。また、底本1950年ということもあり、全体的に古い印象を受ける。2017/01/20
bittersweet symphony
0
初版は昭和25年、増田四郎(1908-1997)による今現在ヨーロッパと呼ばれている地域がローマ的古代帝国からゲルマン民族-ラテン的文芸-キリスト教を軸とした中世的世界観へと如何にして変貌したかを概説した本。物事の変節というのはある一時期を画して起こるのではなくその諸要素がじわじわと影響を及ぼしあいながら変化していくという当然といえば当然の前提は年代記をベースとした歴史記述からはなかなか窺えないものですが、真綿で首を締められているような記述が続くのもなかなか辛かったですね。2006/03/13