内容説明
現在、連句の存在やそのおもしろさを知っている日本人は、はたしてどれぐらいいるのだろうか。本書は、一人でも多くの日本人に連句のおもしろさについて知ってもらえたらと、初心者を対象に想定して執筆したものである。それには、百の能書を並べるよりも、直接、歌仙一巻をまるまる味わってみるのが1番だろう。そう思って、あえてそのサンプルとしての「山中三吟」歌仙の鑑賞にページを割いた。
目次
表6句
初裏12句
名残の表12句
名残の裏6句
余興 4章(連句の力学;連句の発生学;連句の社会学;連句の芸術学)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
山がち
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かなり丁寧に歌仙一巻が読まれていて、非常に読み応えのある一冊だった。ずっと昔に読んだ安藤先生の連句評釈と違って、座の文芸というよりは、一つ一つの国丁寧に向かい合っているという印象であった。もっとも、これは私が変わったせいもあろう。また、芭蕉たちは決してただその一つの座だけで完結するような連句を詠んでいるのではなく、以前の連句なども踏まえた非常に奥行きのある連句をしているというのは興味深いとともに、読むことの難しさも感じさせられた。最後の方の余興もそこそこ面白く、一巻全体を通して非常に満足できる内容だった。2014/05/30