講談社学術文庫<br> 伝記文学 初雁

講談社学術文庫
伝記文学 初雁

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 423p/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784061588639
  • NDC分類 281.04
  • Cコード C0195

内容説明

緩やかにまた滔々と、流れてやまぬ歴史の河の波間に静かに姿を消していった人びと。その健気で潔い生の軌跡をいつくしんで、硯学が、彼らの在りし日の姿を現世に呼び返す。堀部安兵衛、渡辺崋山、南方熊楠ら著名の人物から、名もない武家娘や流刑の咎人まで。読む人たれの心にも、懐しさが沁み入るように満ちてきて感銘が深い。どの一編も拠るべき確実な史料にのみ基いて叙述されており、世に名高き森史学の人物研究中、白眉の名編である。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

筑紫の國造

0
森銑三の学問は大学出の学者にありがちな視野狭窄と独善を廃しながら、作家がやる空想的叙述にも偏らず、独自の地位を築いている。近世の人物に多くを費やした本書からは、そんな「森史学」を十分に堪能出来る。文章には棘がなく、森の人柄までも彷彿とさせる。この中のいくつかの話、例えば「新島ものがたり」や「鳥島に漂着した人々」などは道徳や国語の教材としてもよさそうだ。読み物風ではあるが、しっかりと地に足のついた伝記として、大人も子供も楽しめる作品となっている。2016/06/19

amanon

0
こういう日本の古人を好意的に扱った本というのは、偏狭な進歩主義者からすれば、「復古主義」、「反動主義」という紋切り型の批判の対象になるのだろうか?しかし、全くの偏向が無いとは言えないにせよ、やはりこの書で扱われている日本の古人にかつてみなぎっていた真摯さ、胆力、誠実さ、律儀さなどは、今一度見直すべき価値があると思う。個人的には勝海舟の父親の若き日々を綴った「小吉の放浪」と、大して剣に覚えも無いにも拘わらず、一夜の宿を取るために剣道場に単身で乗り込んだ「古松軒の旅」におけるエピソードが特に面白く読めた。2008/11/07

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/74328
  • ご注意事項