内容説明
日本人の宗教信仰の核心をなしているものは何か。本書は、奈良時代の遊離魂信仰、平安時代の鎮魂儀礼、鎌倉時代の成仏・往生思想の三つの観点から、これを歴雑的に考察した。庶民の生活実感の中に深くしみこんでいる信仰、即ち崇り信仰に対して、その崇りを排除するために行われた空海の加持祈祷の儀礼をはじめ、親鸞・道元等の仏教思想との葛藤は、今日も本質的に変わっていないと説く。仏教信仰の原点を問い直した最新の意欲作。
目次
1 仏教信仰の原点
2 密教儀礼と空海
3 都市と心霊信仰
4 東北元始のこころ
5 死との交わり―三つの型
6 親鸞と道元
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Akane@修行中
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内容は講演集。書き下ろしのように読んでしまったので多少肩透かしをくらった。柳田民俗学がそぎおとしてきた仏教を巡る日本人の精神史という、著者一流の分析が張り巡らされる。●伝統的な美意識は自然と調和するなだらかさを持ち、先鋭的な美意識はビル群、新幹線など突起のイメージ●聖者は祈る静的な面と慈悲行の動的、両面を太極のように体現すること●日本人の[山]信仰、地獄草子や六道図のに立ちこめる山中の雰囲気●富士山●自分が親鸞的か、道元的か見極めることが日本人的な信仰の持ち方のヒントたりうること。自分はギリギリ道元かな…2016/05/04
もくもく
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日本の仏教信仰の拡がりを、伝来の原点からたどって解説しています。日本人の信仰の核心を、遊離魂信仰、怨霊信仰と鎮魂思想、成仏・往生思想から考察した第一章は、宗教学初心者には理解しやすい図式でした。・・・・ところで、我ながら脈絡のない読書傾向で、ラノベなんぞと並べて本書を読んでいると、宗教者・宗教学者ってのが「中二病をこじらせちゃった人々」のように思えてきてしまうのは、困ったもんだ。(^_^)2014/01/11