内容説明
人はだれでもこの世に於ては自分が自分に対して付けるだけの値打ちを有するのである。これは不滅の金言だ。然り、諸君！この金言は我々に、故なくして己の経済的・肉体的・道徳的・また知的弱点を決して人眼にさらすべきものではないことを教へてゐる。…折あらば汝の機才と知識とを人に示せ。他人の嫉妬を呼び起したり、挑戦を宣したと受取られたりしない程度に控へ目に、しかし、十分に！
目次
第１話 処世訓寓話の発詳―アイソーポス『寓話集』
第２話 日本に渡来したイソップ―『イソポのハブラス』と『伊曽保物語』
第３話 モラリストの箴言と寓話―ラ・フォンテーヌ『寓話』
第４話 逸話文学の黄金時代―『十訓抄』と『古今著聞集』
第５話 古代インドの人生知―『パンチャタントラ』
第６話 中世ペルシャの知恵の書―カイ・カースース『カーブースの書』
第７話 「冠婚葬際入門」の草分け―『庭訓往来』と『貞丈雑記』
第８話 西洋礼法教科書の成立―エラスムス『少年礼儀作法論』
第９話 ジェントルマンの原像―Ｂ・カスティリオーネ『宮廷人の書』
第１０話 乱世を生きぬく知略―Ｂ・グラシアン『神託提要・処世の術』
第１１話 社交術といふ名の男―Ａ・クニッゲ『交際法』
１２話 鴎外博士の地恵袋―森鴎外『智恵袋』『心頭語』
最終話 少し人生論風に―幸田露伴『努力論』『修省論』
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