講談社学術文庫<br> 復興期の精神

講談社学術文庫
復興期の精神

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  • サイズ 文庫判/ページ数 286p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784061587502
  • NDC分類 914.6

内容説明

大胆なレトリックと弁証法を駆使して、ヨーロッパの文芸復興期を生きたダンテ、レオナルドら22人の巨人の軌跡を追求した特異なルネッサンス論。衰亡した文化の復活の秘密を探る論理の展開は、執拗かつ独創的で、読む者の意表をつき、現実の変革のためには必死の抵抗以上外に道はないと説く著者の批判精神は、鋭くそして重い。ルネッサンスを語りながら、戦時下の日本の現実の姿を浮彫りにし、「転形期にいかに生きるか」を示唆した名著。

目次

女の論理―ダンテ
鏡のなかの言葉―レオナルド
政談―マキャヴェリ
アンギアリの戦―レオナルドとマキャヴェリ
天体図―コペルニクス
歌―ジョット・ゴッホ・ゴーガン
架空の世界―コロンブス
終末観―ポー
球面三角―ポー
群論―ガロア
極大・極小―スウイフト
肖像画―ルター
汝の欲するところをなせ―アンデルセン
ユートピアの誕生―モーア
素朴と純粋―カルヴィン
ブリダンの驢馬―スピノザ
「ドン・キホーテ」註釈―セルバンテス
晩年の思想―ソフォクレス
動物記―ルイ11世
楕円幻想―ヴィヨン
変形譚―ゲーテ
笑う男―アリストファネス

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

めめ

2
とても難しくて、集中して読むのにとても体力を使った。思想史を素材とした小説のよう、と巻末のあとがきにあってなるほどと思った。私は詩で哲学を説いたエッセイみたいだなと思った。「球状をした死は結末から発端に向かって円を描きながら絶えず運動している」言葉の使い方が面白くて美しい。「孤独とは全てエゴイズムの所産に他ならない」ああ、そうかも、など思いながら読む。色んなことをよく読んで知っていて、それを自分の言葉で表現する知識人。みたいだなと思いました。2021/12/07

mstr_kk

0
ほぼ10年ぶりに再読。ルネサンス期を中心に、西洋のさまざまな有名人を取り上げ、俎上に乗せて料理する。話は多岐に渡り、「何が言いたいの?」と呆然とさせられることも多々あるけれども、(1)「知性-組織-宗教改革-カルヴィニズム-静止力学-フラン・ヴィタール-死」といったラインと、(2)「肉体-自由-ルネサンス-マキャヴェリズム-動力学-エラン・ヴィタール-生」といったラインの対立を押さえ、さらに「楕円」的な発想による独特の弁証法を読み取っていけば、見通しは立つ。現実の認識、闘争、変革のための思考。ただ、「文筆2012/08/25

Takumi Fukuda

0
評論家の花田清輝の教養人たるや素晴らしい。中世、ルネサンス、そして近代の一般的な見方に一石を投じる名著だ。ハムレット「生のゆたかさがあるように、死のゆたかさもまた、あるのだ。生か、死か、それが問題だ」「問題は、これを生によって韻律づけるか、死によって韻律づけるか、ということだ」「ルネッサンスという言葉が(中略)『再生』を意味する」「しかし、再生が再生であるかぎり、必然にそれは死を通過している」「その死から生へのすさまじい逆行の過程であ」る。読んだことある人も居るはず。この見方は凄い。2012/06/10

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