出版社内容情報
【内容紹介】
兼好は自在に、さまざまの話題にふれ、『徒然草』という独自の世界をくりひろげてきたが、この中で、みずからの行為をあまり語らなかった。しかし、彼は第238段で珍しく自賛のことどもを七つも並べ、第243段では、幼時の体験父とのやりとりを回想してさりげなく筆を置く。余韻の残る閉じ方である。本巻は、第183段から終章までをたどり、作者・作品についての解説、兼好の年譜、参考文献一覧を付す。(全4巻完結)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シュラフ
27
諸説あるが、この『徒然草』は兼好が48歳頃に書いたものだという。男の人生は50前後を境にして、生殖年齢と生殖不可年齢に分かれる。生殖不可年齢の50以降になると自分のまわりの周囲の景色が変わって見えてくる。自己と周囲の関係をメタ認知的に客観的に眺めることができるようになる。そこで浮かび上がってくるのは、人間の利己心による愚かさと醜さ。この『徒然草』における兼好の視点は、まさにそうしたものである。まだ利己心の塊のような若者には見えないだろう。生殖不可年齢となり欲得の心の失せた年配者にしか見えない世界である。 2018/01/05
Tonex
0
兼好は隠者のイメージだったが、思ったより俗っぽい人だった。2014/11/17
chikuy
0
2014/11/01
おおの
0
第190段、みじんも疑問を抱かぬ口調で、「妻子を持つのはいとわしい」と書いているのには驚きました。自分に言い聞かせている匂いがないようです。王朝文学風の景色への憧れが強すぎるのでしょうか。2009/05/27