出版社内容情報
【内容紹介】
『徒然草』は鎌倉末期の草庵歌人兼好の随筆。全244の章段から成る。その中には、人生論あり、都鄙の珍しい逸話あり、古きよき時代をしのばせる故実への考証あり、多彩をきわめる。作品世界は兼好の心の動きのままに展開されるが、随所に鋭い批評眼が光り、みずみずしい情感が流れる。成立後しばらくは埋もれていたが近世以後、無数の読者に迎えられ、日本の代表的古典として評価される。本巻は第46段までを扱う。(全4冊)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シュラフ
28
この『徒然草』の各段の構成は、わりとパターン化している。肯定するものと否定するものを列挙して、それに対する兼好の意見というパターンである。兼好が肯定しているのは清貧・無欲・趣味・自然などで、そして否定をしているのは執着心・濁富・名声などの世俗的価値観。この兼好の判断基準こそは「人生とははかないものである」との無常観。無常であるからこそ人は心静かに落ち着いて生きるべし、というのが兼好の考えではないか。兼好が何歳の著作かは分からないが、もはや世俗的な生活基盤から離れたことでのメタ認知の境地ということだろう。2017/09/22
しらたま
1
昔人に勧められた徒然草を思い出して読む。身につまされるところがあり、今も昔も人は変わらないのだなと感じる。私の悩みも思いも悠久の時の流れの中では無価値なもの。ゆえに無駄かと言うとそうではなく、一人一人の積み重ねが時代となり歴史となり後世へと続いていく。ああ、無常。2021/08/18
ocean
1
徒然草の第一段から第四十六段まで。古さは感じつつも、言っていることの骨子は今の令和になっても通用すると思いますし、人の考えることって今も昔も案外変わってないんだなぁ。2021/02/23
Tonex
1
『徒然草』を原文、現代語訳、語釈、解説の順で各段ごと(長い段は段落ごと)に詳しく分析。「つれづれなるままに」で始まる序段を読んだだけでも、『徒然草』にはいろいろな読み方や解釈があり、いまだに議論百出状態であることが分かって驚いた。最初は語釈で引用されている漢文にも目を通していたが、じっくり読んでいたら途中で飽きて最後までたどり着けない恐れがあるので、適宜飛ばし読みすることにした。2014/11/15
銀鈴
1
「万事はみなむなしい」と語り、枯れてるように見えて、好奇心から人の家を覗いてみたり、結構女性経験ありそうな話しぶりだったり、矛盾だらけ。そこがステキ。好兼もフツーの人だったんだ。2013/02/20