内容説明
富・権力・名誉あるところに御家騒動あり。鍋島騒動、伊達騒動、加賀騒動など、藩政を二分し、大名家の存亡を賭けた熾烈な抗争劇…。身分秩序や家督制度がはらんでいた矛盾、武家政治のモラルの変遷を通じて、ついには幕藩体制崩壊の原動力にまでなっていった権力抗争の真実を、近代史学の視点から読み直す。
目次
第1部 御家騒動の前史(御家騒動とは何か;神話時代から院政まで;院政の成立;摂関家も絡んだ争いに;「ムサノ世」の御家騒動;南北朝時代;宗教界における御家騒動;関ケ原の戦い)
第2部 江戸の御家騒動(舞台は大名家へ;鍋島騒動;伊達騒動;越後騒動;加賀騒動;七家騒動と「主君押込」;お由羅騒動;安政の将軍継嗣問題)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とみしん tomisin555
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先日読んだ「徳川将軍家十五代のカルテ」に続いて歴史ものの新書。ジャンル的にはよく似てる。江戸時代の庶民が支配者層の内輪もめである御家騒動を興味本位でみていたと言うのは、文楽や歌舞伎の題材としての取り上げられ方からよく分かる。伊達騒動は「伽羅先代萩」だ。壬申の乱に始まって、後半は江戸時代の7つの御家騒動。全部面白かった。この手の本が好きなことを改めて自覚した。歴史を振り返るのは楽しいな。文楽の見方がまた少し変わりそうだ。2019/05/24
ワタシ空想生命体
0
江戸時代の御家騒動は時期によって3つにわけられる。前期は大名本家が藩政から一門を排除し宗主権を確立しようとした際に起きた。特徴としては外様の大藩に比較的多く解決を幕府に委ねたこと。後期は藩政改革によるもの。改革派と門閥重臣層の間で起こった。幕末は佐幕か尊王かをめぐり発生した。 この本がかかれた93年当時、御家騒動の研究は発展途上の学問だったそうだ。2011/11/30