内容説明
他人の視線に怯える対人恐怖症。強迫観念や不安発作、不眠など、心身の不快や適応困難に悩む人は多い。こころに潜む不安や葛藤を“異物”として排除するのではなく、「あるがまま」に受け入れ、「目的本位」の行動をとることによって、すこやかな自己実現をめざす森田療法は、神経症からの解放のみならず、日常人のメンタル・ヘルスの実践法として、有益なヒントを提供する。
目次
1―森田療法の基礎理論
2―神経質(症)のメカニズム
3―神経質(症)の諸症状
4―神経質(症)の治し方
5―日常に生かす森田療法
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さゆ@俳句集販売中
159
森田療法では、理想と現実の自分をあるがままに受け止め、生きる欲望に意識を向けさせるらしいが、一方、恐怖突入は根性論ぽい上、死の欲望からの切り替え方ははっきり示されていない。ただ、未来への偶然性に怯えているのであれば、歴史にifはないというように、ある程度決まっていると考えることで切り替えられるかもしれない。また、未来への決定性によって諦めているのであれば、どう決定するかは知り得ないためにどうとでもなり得ると考えることで切り替えられるかもしれない。結局、何を信じるかの答えなき迷路が生きることのように思える。2024/04/01
せ~や
61
「はじめに」と「おわりに」、第一章の途中まで読んで挫折。森田療法の話がまとめられてるのかと思ったら、森田療法をダシにして、森田療法を批判しながら、著者の考えや理論をずっと話している。内容も具体的な方法論ではなく、全て抽象的で、理想論ばかり。紛らわしいから、「森田療法」というタイトルにしないでほしい。すごい自己満足な本。こういう本もこういう人も、好きになれない。自分としてはムリな一冊でした。強いて言うなら、不安も「あるがまま」に持って、自分を許す事で、他人も許せるという著者の考え方には納得でしたが。☆02020/04/29
まーちゃん
50
森田療法については、今まで森田博士の著書しか読んだことがなかったので、他の精神科医が語る「森田療法」は新鮮で興味深かった。森田博士はそもそも「これはじつは何かの機会に、常人にだれにでも起こる不快の感覚をふと気にし出したということから起こるもので…」と言っていて、これは治療法というより人間の実態を観察し考察する中で生まれたものなので、誰が読んでも共感出来る部分はあると思う。「寧ろそれは病として扱うと治らない、普通の健康な人として扱うことで容易に治る」と言い切る森田博士の力強い言葉を思い出した。2017/03/26
藤月はな(灯れ松明の火)
49
私は「人は自分の話だけはするが、私の話は真摯に聞いてくれないのだ」と諦めてしまい、自分の感情も他人事のように捉える癖がある。その癖が就活の面接や人間関係にも響くことになり、「変わらなければならない」と思っていたらかえるくんさんからこの本をお勧めされました。不安や葛藤をないものではなく、起きて当然(あるがまま)のこととして受け入れることで克服されるという療法。そして自分のしたいことは、不安から逃げ出すことか、向き合って自分の目的を叶えることか考えることが大事ということ。不安には効くけど諦めには効くのかしら?2014/04/06
こばまり
45
森田療法といえば臥褥、あるがままといったキーワードしか知らなかったが、なるほど本書を通じてその本質に少々触れてみると、日本ならではの趣を感じる。何よりも衝撃、感銘を受けたのは著者の死に様である。学究の徒として見事な最晩年は森田療法に由来するのか。2023/05/11