出版社内容情報
【内容紹介】
論文は、学者や研究者やプロの文筆家だけのものとはかぎらない。ことに多様化する現代は、従来の専門家だけでは解決できない未開拓の分野を生んでいる。いまこそ柔軟な発想をもつ書き手が求められているといえよう。しかし、論文はどうしたら書けるのだろう。自分の主題や視点をどのように定めてゆくのか。わかりやすい表現とは? だれにむかって書き、そしてだれが読むのか。投書家から出発し、映画、教育、大衆文化と幅広く活躍中の著者が、学校ではなかなか教えてくれない文章修業のコツや表現の組み立て方、テーマの選び方を、みずからの体験をとおして具体的に語った画期的な論文教室。
テーマは書きながら見えてくる――自分が人生で経験したことのうち、なにか深く心にひっかかっているけれども、しかしその意味がはっきりしない、というようなことはだれにでも経験があるはずである。そんな微妙なところがあったら、それをまず、なるべくこまかく、顕微鏡で見るように、描写し、記述すること。そうしながら、なぜひっかかるのか、ということを考えてゆくのである。といって、五里霧中では書きだすこともできない。この問題をこの方角で追求することが大切なのだ、というカンがあって書きだすほうがいい。自分が感動した映画の一場面などを、なぜ感動したのか、と自問自答しながら書いてゆくと、そこにしだいに、自分が見出そうとした問題が浮かびあがってくるのである。なにが問題なのかということが自分にわかれば、それはたいしたものである。――本文より
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