角川選書
日本文化の模倣と創造―オリジナリティとは何か

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  • サイズ B6判/ページ数 232p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784047033412
  • NDC分類 361.5
  • Cコード C0321

出版社内容情報

「オリジナルには価値がある」という常識が一般化している。しかし、芸術や芸能の世界を顧みれば、模倣こそが創造を生み、文化伝播の原動力となっていた。近代商業主義に左右されない「再創」文化の意義を問い直す。

内容説明

著作権をはじめとして、現代の私たちは「独創(オリジナル)にこそ価値があり、模倣(コピー)は許されない」という価値観に縛られている。しかし伝統文化を振り返れば、個性豊かな表現は先達の芸や作品を模倣することから生まれてきた。西洋美術、浮世絵、写真、連歌、インターネット、マンガ・アニメなどを題材に、近代的な価値観にすぎない「独創」神話の矛盾を解き明かし、模倣を楽しむ「再創文化」の意義を問い直す。

目次

第1部 模倣と創造―オリジナリティとは何か(似ているとはどういうことか;ものまねの美術;写真の神話)
第2部 著作権は何を守っているのか―著作権制度の光と影(著作権の狂想曲;コピーと国のかたち)
第3部 日本文化と再創主義のすすめ(つながりの歌;デジタル社会のジャポニスム;クリエーションからレクリエーションへ)

著者等紹介

山田奨治[ヤマダショウジ]
1963年、大阪生まれ。筑波大学大学院修士課程医科学研究科修了。京都大学博士(工学)。専門は情報学。日本アイ・ビー・エム株式会社、筑波技術短期大学助手などを経て、1996年より国際日本文化研究センター助教授。総合研究大学院大学文化科学研究科助教授を併任
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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富士さん

4
模倣が文化を作るという考えには全く反論の余地なく大賛成なのですが、著作権法への認識はちょっと違和感がありました。確かに著作権法は大コンテンツホルダーが自身の支配を維持するために運用する面が大きいのはその通りですが、文化産業従事者は最終的にはどうしてもこの権利に頼らざるを得ない点にもっと配慮が必要かと思います。もし本書の議論が、文化産業の存在自体がダメで、ディレッタンティズムに回帰すべきというのでないなら、著作権の運用内にある権力関係こそが争点であって、著作権の存在自体を問題にするのは違う気がしました。2018/05/31

takao

1
ふむ2023/06/22

endormeuse

1
「模倣」を美術史において普遍的に行われてきた「再創」と定義し直すことでオリジナリティという近代の神話を掘り崩しつつ、まさにその流儀に従って営まれるハッカー文化を擁護する。日本美術史っぽい表題だがメディア論系の議論。大筋で異論はないが、個別の論証のいくつかについてはあまり説得的でなく、たとえば第一部の「傑作は模倣作が多く存在するがゆえに傑作たりうる」、という逆遠近法的な指摘も、多く模倣されたのがまさにその作品であった理由は何かを説明するものではないのでは。全体に結論ありきな雰囲気でモヤモヤ。2019/08/17

メロン泥棒

1
模倣と想像に関連して日本文化と情報化社会など話題が多岐にわたる読み応え十分な良作だった。まず、妖怪を扱った作品が多いのは妖怪が知名度の高い著作権フリー素材だからという解説に納得。伝統芸能における「形」「型」「風」の違いなど日本文化に密接した話題。商業化される前のインターネットは"フリー"な楽園であったが、商業化されたことにより特許や規制が導入される様になったという解釈。そもそも、オリジナリティという概念自体が近代に誕生した物である。オリジナリティ至上主義に疑問を感じる人と全く感じない人向け。2010/11/20

ぷるぷる

1
日本文化というタイトルだがその視線はもっと大きく人類文明のあり方にある。 独創に対して他者の創造物を引き継いで作品を展開する著者の言う「再創」という考え方には大きく頷かされる。 オープンソースと日本の文化の共通項にも感心させられるが少々できすぎの気もする。しかし良く引き合いにだされる連歌がオープンソースの思想そのものであることは間違いない。 技術者的にはむしろ日本文化の再発見的な話のほうが多く興味がわいた。2008/05/31

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