内容説明
夫婦には会話が成立しないのだ。何か言いかけると、センテンスは意味をもたないまま立ち消えていく。―わたしは退屈のあまり泣いている、夫もまた…。(「欠伸」)すれ違い、誤解、傷つけあい、絶望、それなのになお、何かを期待し、求めつづけてお互いにひかれあう男と女の不思議。ソフトタッチで描く孤独な都会のショート・ラブ・ストーリー31篇を収録。彼と彼女、夫と妻、僕と君、あなたとわたしのそばにいるすべての男女に贈ります。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
団塊シニア
22
今は亡き森瑶子の作品、「情事」「嫉妬」「愛の美学」同様期待を裏切らない作品である。都会に生きる大人の女性の感性を鋭く描いてる。もっと彼女の作品が読まれることを願ってます!2013/04/02
さりぃ
8
#彼と彼女 #森瑤子 (再読)高校生の頃に読んだ本。あの頃精一杯背伸びして読んだけどあの頃、男女の気持ちなんてよくわかっていなかったと思う。今だってよくわかんない(笑) 再読して当時のバブル景気に乗った暑苦しくもクールな日常が真夏の暑い風のように顔を脇を通り過ぎるイメージを感じた。 大人の恋と言えば素敵な言い回しだが、ゆきずりのアバンチュールや都合のいい女のオンパレードでちょっとなぁと思う話も多い。 でも森瑤子の文章力やアイディアに没頭し、のめり込んでしまう。 やっぱり森瑤子ファンを実感しました。2018/12/23
KF
5
272頁の文庫本に31の短編小説と解説。これだけ短いとテンポは良い。これだけ多いと相性の良いのも悪いのもある。ニヤッとしたのもあったし、怖っ!てのもあった。書かれたのは昭和末期。その時代の「彼と彼女」にはスマホも携帯も無かったんだなぁ、80年代って遠くなっちゃったんだなぁ、と痛感。2017/05/25
みい⇔みさまる@この世の悪であれ
3
☆×5.0…この作品はごく短いのと短めの2つに分かれています。秀逸なのはごく短いほう。本当に数ページのみなのに読者に与える印象というのは強烈なものがあります。そう思うとやはり亡くなられたのが惜しいものです。今は恋愛の形がもっとありますからね。その中ですごいのはこれまた著者では珍しいホラーの形をとった「壁の月」でしょう。これはただのホラーではありません。2段階構成ですので…確かにタブーものはありますが短いのでさほど気になりませんでした。2012/10/18
ふう♪
2
なにも読む本がなくなって本棚から取り出した。忘れられない印象の物語、、、あったあった、これこれ。 「あっ」というタイトルの物語。バカンスのために仕事で徹夜する物書き、まるで作者そのもの。バカンスの前夜のバーでの「死線」の会話。あわてて乗り込む自分の顔に浮かぶ「死線」。。。 もう何年も昔に読んでいたのに、いまだに覚えていた。 それ以来、わたしは飛行機に乗ってない(^^ゞ 2012/12/08