感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えりか
30
面白かった。非常に読みやすい。クスリとさせるユーモアのある文章の中にも、人間の心の中にある悲しさというか、切なさが伝わるので、「あれ、今わたしどんな顔してるのかしら、ニヤッとしてるのか真面目な顔してるのか」と、なんだか心地のよい戸惑いを感じた。2016/01/02
刹那
20
里帰り中、実家にあったので読みました(◍′ω‵◍)エッセイなのか、小説なのか分からず読み進めました(笑)実話もありますね( ^ω^ )私が産まれたぐらいの本やったのね(笑)2015/03/17
Tomoaki Yoshino
12
遠藤周作短編集。人の哀れさがユーモアに描かれており、それ故に哀れさが強調されていた。初恋は自伝的小説で、クワッ、クワッ先生行状記はエッセーである。二つとも幼少期の思い出が詰まっていて喪失的な感覚を抱きつつも、ユーモア溢れる描き方は印象深くさせる。さすがは、文豪といった感想。2017/07/18
ぱんぺろ
9
大好きな短編集。巻頭と巻末の二篇、併せて四篇が出色。時に長編では主題への偏重から小説の俯瞰調和を乱すこともあるが、「わたし、という人間が考えてきたこと」をことばの凡てに当て羽目る作文こそ、軽いものもあれば重いものもあるといわれる遠藤文学の、しかし一貫したスタンスである。個人的には短編の名手、遠藤周作の小説家としてのよろこびとかなしみ、悔い、諧謔を堪能し、爆笑し、わがことのようになみだできる。生々しい作文に、長いつきあいとなった作家との馴れた対話にならぬよう、ひとことひとことと向きあいながら読ませて貰った。2014/08/12
みや
8
表題作始め11の短篇収録。平易でありながら味わい深い作品群を集めた一冊。他愛もない話が並ぶが、深い悲しみと孤独に根ざした作者の視点が感じられ、心打たれる名作揃い。特に、子どもや犬などの弱き存在との関わりが何とも言えぬ切なさを伴って描かれる。お調子者でユーモアに溢れた自身の言動は、感受性の強さの表出に対する照れ隠しのよう。阿川先生との大連珍道中は、人物評としても興味深い。小学館P+D BOOKS版にて読了。2024/01/31