朝日文庫
玉蘭

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 374p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784022643261
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

張り詰めた東京での生活に疲れ、すべてを捨てて上海に留学した有子。しかし、どうにも断ち切れぬ思いは、70年前、この地で生き、同じ思いを抱えた大伯父の幽霊を呼ぶ。枯れた玉蘭の花とともに…。交錯する二つの思いは時を越え、“過去”と“現在”を行き交う。人は恋愛の果てに何を得るのか。

著者等紹介

桐野夏生[キリノナツオ]
1951年石川県生まれ。成蹊大学卒業。93年『顔に降りかかる雨』で第39回江戸川乱歩賞、98年『OUT』で第51回日本推理作家協会賞、99年『柔らかな頬』で第121回直木賞、2003年『グロテスク』で第31回泉鏡花文学賞受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

キムチ27

43
異なる時のカプセルで懸命に、刹那に、妖しく生きた男と女…筆者が読み手を最後にいざなった情景は?執筆は20年ほど前なのに、「今」的精神論と繋がる。生きるとは、長寿とは、肉体の結びつきとは…。質に身も心も焦がした浪子、結核と言う病の影。医者松本、彼にとって女を愛する、抱くとは何だったのか。想いがすれ違う有子。かの時代の上海のシーンは映画のよう。ラストは序盤で散りばめた伏線をしなやかにたおやかに畳みあげていく…特に松本が見る白日夢の幻想がドラマ性を高めていた。そして最後の一捻り…よかった!2015/05/28

mazda

26
良書です。読み始めは一体何を書いているのかわかりませんでしたが、途中から点がつながり始めて、筋書きが理解できてきました。大恋愛に生きた二人の女性が、時空を超えてシンクロする様がとても興味深く、またそこに絡む男性のどこか頼りがいのない雰囲気が、この作品をとてもいい方向に導いていると思います。桐野さんの本は、どれも外れがなくてすごいと思います。2015/05/15

yumiha

20
木蓮に似た花、玉蘭。クチナシのような強い芳香を放つ。その花が70年の時空を越えたタイムスリップへ導く。作者の祖母の弟の質(ただし)の残した日記「トラブル」をもとに紡ぎ出された小説。有子も浪子も、その恋人たちの視点からも描かれると、厚みを増す。そうだったんかあと思う。「新しい世界で新しい生活が始まるなんて幻想だ。これまでのすべてを引きずって、あんたの世界の最果ての場所に来たんだ」という言葉を心に留めておこう。2017/03/10

カッパ

16
【◯】【概要】恋愛小説。過去の恋、今の恋。上海という場所を舞台に交錯する【感想】主人公の有子の苦しさがわかりました。田舎からでてきて頑張るけどうまくいかない。言葉で理解しないと前にすすめない。2018/04/08

おぎにゃん

12
思った通り、ドロドロだった…現代の上海と、昭和初期の広東・上海を舞台に繰り広げられる恋愛物語…とは言え、ロマンの欠片もない。あるのは、新しい自分を見つけようとあがき続ける人間たちの、どこまでもリアルで壮絶な生と性のみである。本当の幸せはどこにあるのか。それとも、存在し得ないのか?…そんな救いのない物語が、ラスト数行でファンタジーへと変貌する…見事です。2014/05/02

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/439620
  • ご注意事項