内容説明
近代日本は、国家としての体裁をととのえた19世紀末以降、戦争の長い中断期をもつことがなかった。日清戦争、日露戦争、シベリア出兵、1937年の日中戦争の全面化、41年のアジア・太平洋戦争へと続く。動員された兵士は、自分の人生を中断されたという意味で被害者だった。が、武器をとる戦闘者であることにおいては、まぎれもなく加害者だった。兵士によって見きわめられた戦場とはどんなものであったか。
目次
兵士であること―戦争論の現在
「一兵」の覚悟―宮柊二の戦場詠序説
取り憑いた兵営・戦場―柴田知明の戦後
村の兵士たちの中国戦線―岩手県和賀郡藤根村・高橋峯次郎宛通信をおもな素材として
戦場の医学
戦死の美学と実学
戦争未亡人
戦争と国民―太平洋戦争の場合
徴兵令
戦争と民衆の遺産―八・一五に思う
おっとせいと天皇
「軍隊」をえらぶまで
脳裏の現代史―山口県史の窓
原爆文学について―神奈川近代文学館「原爆文学展」をみて
『ひめゆりの塔の記』を読む
戦争の影―「生命」の時代に
著者等紹介
鹿野政直[カノマサナオ]
1931年、大阪府生まれ。53年、早稲田大学文学部卒業。58‐99年、同大学に教員として勤務。日本近現代史専攻
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