内容説明
いま人類は大きな「矛盾」のなかにいる。技術の進歩で産業は高度に発達し、家庭生活も著しく便利になったものの、半面、それゆえに新たな難題をいくつも抱えることになった。環境破壊、廃棄物処理、ヒートアイランド現象など都市問題…。現代人の「社会的生活」は決して豊かなものにはなっていない。技術評論の第一人者が、その難題を克服する道筋を懇切丁寧に解説する。カギを握るのは政治。風力発電やバイオマス、燃料電池など新しい技術の「芽」を育てる社会的システムをどう作るのか?豊富な事例をもとに、企業と家庭の利便性向上に偏重された技術が目指すべき、もう一つの道が明快に語られる。技術の「あす」がわかる決定版。
目次
第1章 「社会的生活」の向上が新たな政治課題
第2章 「産業」の技術を支援してきた日本の政治
第3章 「社会」の技術に政治はいかにかかわったか
第4章 海外各国に見る技術と政治
第5章 「社会」に技術を向ける政治の役割
終章 技術の治水へ
著者等紹介
森谷正規[モリタニマサノリ]
1935年生まれ。東京大学工学部卒業。日立造船、野村総合研究所を経て、1989~91年、東京大学先端科学技術研究センター客員教授。1994年より放送大学教授。現代技術論専攻
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感想・レビュー
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samandabadra
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途中は読んでいて、ほうほうと納得した箇所もあったが、最後(第5章)は「~べき」のオンパレード。自分勝手に妄想しとれ!と思うことも…2015/06/19
やご
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とってもわかりやすい題。そのとおりの内容です。成功すれば利益が期待できるという大きな誘因が存在する「産業」向けや「家庭」向けとは違い、「社会」全体を豊かにするための技術開発は現代においてきわめて重要であるがその費用負担に対する見返りが期待しにくいため、政治による誘導が不可欠であるというのが著者の意見です。しかし、日本の政治家に技術に対する的確な理解が期待できるかというと、どうもねぇ・・・。 (続く)→ https://gok.0j0.jp/nissi/0109.htm2007/06/07