目次
1 夢を乞う
2 夢あわせ
3 夢語りの禁止
4 夢語り共同体
5 夢と死者
6 夢の記録
7 夢と塔
8 将軍の夢
著者等紹介
酒井紀美[サカイキミ]
1947年、大阪市に生まれる。大阪市立大学大学院博士課程修了(文学博士)。現在、慶応義塾大学・相模女子大学・成蹊大学・立教大学の非常勤講師
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感想・レビュー
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sfこと古谷俊一
4
夢解きの女、なんてのは伝奇的においしいなあ。見た夢を語り広めることによる共同体が社会において夢の現実的な影響力を構築していたわけですかね。2009/09/27
kunugi
3
いやあ面白かった! 中世日本において「夢」が果たした役割を、豊富な事例を示しつつ、それぞれに現代語訳と寸評を付記してひたすら並べた入門書。集団の意志を統率する手段として、夢が積極的に利用されていたというあたりの事情へ興味を覚える。1つ1つの夢記や夢に関する説話が何故作られなければならなかったのか、その背景を想像しながら読むとさらに楽しい。2010/07/31
bapaksejahtera
2
今日のように視覚情報が過多な時代と異なる中世。夢は神からの告知であり、自らの栄達や寿命、亡親の後生を伝えてくれると考えられた。文書や絵画から伝わった夢の内容とその判断、技能としての「夢語り」や夢を得るための寺社参籠など。本書は著者が西郷信綱の「古代人と夢」に触発され、これに続く中世について述作された。感銘したのは「終わりに」。「夢」を文章を読み書きできた人々の物に止めず、柳田國男を引用、「夢見」を語る習慣が多かった時代が最近まであったこと、夢に係る噂が「事実」として世の中を動かしたことで纏めた点である。2020/01/13
つきこ。
2
現代人は夢は己の無意識の中から溢れ出た物だと理解するのに対して、中世の人々は強大な外部の力の影響により見せられる物だと解釈しているというところから始まり、ついには他人の夢を奪う話まで出てきて非常に興味深かった。昔人の世界観が垣間見える。2016/02/01
asa
1
課題のために読了。平安時代の夢はいまとは大きくちがい、見るものではなく、見せられる・与えられるものと考えられていた。科学が発達していない時代だからこその考えにロマンと関心をもった。2016/01/27