出版社内容情報
人は何のために生きるのか.人生において何が大切なのか.人が生を享けて死を迎えるまでの間に直面するさまざまな問題を,長年の臨床経験を積む内科医として,また敬虔な宗教者として人生観・死生観をふまえて考察する.
内容説明
人は何のために生きるのか。人生において何が一番大切なのか。人が生を享けて死を迎えるまでの間に直面するさまざまな問題を、長年の臨床経験を積む内科医として、また敬虔な宗教者として自らの人生観・死生観をふまえて考察し、医療と看護のあり方、高齢期の生き方、死の受けとめ方、健康維持に必要な心構えなどを提言する。
目次
1 生をみつめて(人間が生まれたのは何を受け何を与えるためか;命をみつめて―医療と宗教の接点;誰もが通る老いへの道;変わっていく女性の年代別の生き方―新しい生き方を求めて)
2 死をみつめて(医療と宗教からみた死生観;死をめぐる医学と看護―タゴール、リルケとの出会いから想う;死の受容―宗教とのかかわりあい)
3 病をみつめて(高齢化社会における健康管理;健康と病い―しなやかに老いを生きる;病気から学んだこと―私の患者学)
著者等紹介
日野原重明[ヒノハラシゲアキ]
1911年山口県生まれ。内科医。京都帝国大学医学部卒業。人間ドックの導入、ホスピスの設立など、常に医療・医学改革に努める。現在、聖路加国際病院理事長、聖路加看護大学理事長、東京都名誉都民、文化功労者、(財)ライフ・プランニング・センター理事長
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感想・レビュー
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KAZOO
135
人間がしに臨むときの死生観などを中心としたエッセイです。日野原さんのこのようなエッセイはどちらかというと、哲学的あるいは情緒的と感じます。キュブラー・ロスなどの外国人が書かれたものだともっと現実的な感じがします。タゴールの言葉や鈴木大拙の考え方あるいはキリスト教的な考え方なども入っていてかなり幅が広い感じを受けました。2016/08/13
のんたん
2
「死があるときわれわれはもういない」(モンテーニュ)。詩人、哲学者、小説家から、聖書の言葉までさまざまに引用しながら「死ぬこと(=命)」について語られる。それにしても「死」に触れるとは、医師であっても決して日常に埋没しないのだな。2008/06/27
壱萬弐仟縁
1
「人間が死ぬときには、どんな人でももっとも最悪の状況のうちに死ぬということ」(p.34)。そのとおりであって、経済的に、身体的に、そういう状況があるから、自殺したりしてしまう。「本当に私たちのいちばん大切なことは、私たちはどの人生の舞台にあるかということを認識し、そしてその場できょう何ができるかということを考えることです」(p.41)。評者もいつ死んでもいいように、40歳で自分史を自費出版したが、今後のことは展望しにくいが、なんとか開拓しなければ、と思う。2012/05/05