出版社内容情報
数学を理解するとは数学的現象を「数覚」という感覚で見ることである.「数覚」は頭の良し悪しとは関係がない.フィールズ賞受賞数学者が独自の数学観を披瀝し,日本の教育に提言する.学ぶことの楽しさが溢れるエッセイ集.上野健爾解説
内容説明
数学を理解するとは、数学的現象を「数覚」という感覚で「見る」ことである。「数覚」は感覚なので頭の良し悪しとは関係がない。フィールズ賞受賞数学者が数学に対する独自の考え方を披瀝し、自らの学習経験や留学生活のエピソードを綴りながら、日本の数学教育に提言する。学ぶことの楽しさが溢れるエッセイ集。
目次
ノートを作りながら
数学の印象
一数学者の妄想
数学の不思議
発見の心理と平面幾何
学術交流の周辺―数学の世界をめぐって
科学・技術と人類の進歩
このままでは日本は危ない
原則を忘れた初等・中等教育―何のため、そして誰のために急ぐのか
New Math批判
数学教育を歪めるもの
不可解な日本の数学教育〔ほか〕
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きんちゃん
5
フィールズ賞を日本人で最初に受賞した数学者のエッセイやインタビュー、またプリンストン高等研究所での研究生活での一端が垣間見える「プリンストンだより」などが収録されている。一番印象に残ったのは、現在の日本の初等教育のあり方に関する氏の見解だ。子どもには決して大人のやり方を当てはめてはならず、小さい時にしかできないことをさせるべきだというもの。あまりにも急ぎすぎて現在の教育はいろんなものを小さい時から詰め込みすぎるというもの。その理由や詳しいことは本文で。2014/02/04
bouhito
3
学園紛争時、教授を専門馬鹿呼ばわりする学生らに対して「専門バカではない者はただのバカだ」という名言を放った(実際には書いただけ?)で有名な小平先生の著作。数学に関する知識がなくても読みやすく、氏のプリンストンでの経験や基礎学力(国語、算数)を軽視する学校教育への批判が歯切れのよい文章で書かれています。なかでも最終章のプリンストン便りは傑作。当時の数学者の交流の記録としても価値があるし、ホームシックの朝永先生が、通訳をつれて歯医者に行って入れ歯を作る話は抱腹します。2015/07/09
staygold02
2
フィールズ賞受賞者の小平先生によるエッセイ。数学感覚というモノ、人との出会いなど科学者にとって大切なモノは何かを教えてくれる。 …この本は教育についても触れているが、昭和60年代の本なのに現代と同じ事を訴えていて教育ってなんだろな、とも。2013/01/08
せいや
1
数学者の記した様々な文章。数学とは一風変わった性質を持つ学問であり、「数覚」によって理解され、進歩してゆく。 日本の初等教育へ彼が持つ懸念は、その数学者ならではの論の展開ゆえに目から鱗だった。2023/05/24
つくね
1
小平さんといえば、フィールズ賞を取った日本人という事は知っているのですが、具体的に何をした人なのかは知りません。(←すみません。。。) 本書は小平さんのエッセイなのですが、すごい腰の低い方なのか、 「私は教養に乏しい単純な数学者で・・・」 「私は数学以外のことは何も知らない単純な数学者で・・・」 などと、ご謙遜された書き出しが多いです。 実際は1986年に刊行された本ということもあり、ちょっと内容が古いかな…という印象を持ちました。 2017/09/02