出版社内容情報
時分の花，まことの花，年々去来の花…．「秘すれば花なり．秘せずは花なるべからず」との奥義を説く世阿弥．若き日より幽玄の世界に親しむ歌人が，能の美，芸の極意と共に，人生の書としての滋味を深く味わってゆく．
内容説明
時分の花、まことの花、年々去来の花、因果の花、老骨に残りし花…。芸能上の花のありかを尋ね、「秘すれば花なり。秘せずは花なるべからず」との奥義を説く世阿弥花伝書。若き日より幽玄の世界に親しむ歌人が、この珠玉の芸道論を丹念に読み、能の美、芸の極意だけでなく、人生の書としての滋味を深く味わってゆく。
目次
１ “花”の論との出合
２ 道の掟
３ 名人への道
４ 物まね心得
５ 一大事の問い
６ 申楽の歴史
７ 秘中の秘
８ 花を究め能を知る
９ 秘すれば花
１０ 風姿花伝名言集
著者等紹介
馬場あき子［ババアキコ］
１９２８年東京都生まれ。歌人。７８年『かりん』を創刊・主宰、朝日歌壇選者。『桜花伝承』（７７年）により現代短歌女流賞、『阿古父』（９４年）により読売文学賞を受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
James Hayashi
35
世阿弥が記した能の理論書。先日読んだホンダデザインの書より手に取った。またジャパネット高田の前社長が他書で詳しく語っておられる。普通に読めば能の指南書であるが、現代生活に取り入れられる指摘が多々存在している。しかし原書で読むと、自分にはほとんど無益であろう。巻末にある名言集は心打つ言句が幾つかあった。世界に誇れる古典。2018/09/03
シュラフ
24
解説本の枠を超えた素晴らしい『風姿花伝』論である。著者は『風姿花伝』の魅力を「ひとり心に味わう人生の書として読むことをおすすめしたい。いわば、芸能にたずさわる人とはちがう読み方がいくらでもできる幅の広さをもっている・・・どんな中途から読み出しても必ず引き入れられる身にしむ教えが随所に秘められている」という。そして『風姿花伝』には、すでに日本の芸術論が技術に加えて芸の格調や、人間的品質の慈味を鑑賞する方向をもっていると指摘する。『風姿花伝』の脇におけば、その魅力を十分に理解することができる解説本である。2016/03/19
瓜坊
16
風姿花伝、解説書。解説書というより馬場あき子さんによる案内書。現代語訳本ではない。全文載ってるわけでもない。原文があって、それに添って当時の能を取り巻く環境、世阿弥の人生などが語られる。原文がカッコイイので訳がないのが少し大変だけどかえってイイかも。馬場さんが寄り添って読んでくれる。世阿弥は芸人として（見てないけど）超一流。でもその経験に裏打ちされた芸論を書く才能、批評家として芸人、観客、時勢を見る観察眼も超一流。いつの時代でも最高の表現者は、そのジャンルの最も優れた批評家でもある。2019/07/11
非日常口
7
原文で読んでからこういう解釈書を読むと改めて世阿弥のすごさを体感できるのではないか。解釈はその人の経験にどうしても依存する。それを前提にリダンダンシーを持たせた言葉を立てることこそおそらく近代一義性の分かり易さとは別の伝え方があるように思う。風姿花伝は型と楷書を併置する一方、その文に逸れる要素を多岐に膨らませている気がする。簡潔明瞭？そこに面白さはない。幽玄という言葉を私たちは思い出すべきだろう。そこに言葉と身体性の回復があるように感じる。2013/06/11
シゲミ
1
研究レポート資料2015/01/21
