出版社内容情報
フィールズ賞受賞数学者による市民のための幾何入門.図形の科学としての平面幾何の厳密な体系をわかりやすく展開し,現代数学からの考察,複素数の応用までをたどる.読み進むうちいつしか幾何の世界に魅了されていく.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まじぇすた
4
中学校で習った平面幾何学の説明。一見すると教科書と同じだが説明や定理の証明が読者の思考の流れを意識しているかのように分かりやすく記述され、ゆっくり読んでいくときちんと理解できる。そのため、学校の教科書や参考書よりも優れている本だと気付く。第1章の最後の円論のところで急に難しくなるが第2章へのプロローグであるので読み飛ばしても差し支えない。この第2章でのヒルベルトの「幾何学の基礎」に対する著者の指摘が素晴しい。3章の複素数はおまけのような感じ。この本ではフォイエルバッハの定理とパッシュの公理が活躍する。2016/11/08
mft
3
言いたいことは2章に書いてある。すなわち、ヒルベルトのように図を見て明らかなことまで公理を立てて証明するのではなく、図を見て明らかなことは認めてしまうということにすれば、旧制中学で教えられていた幾何学も図形の科学として十分厳密なものだった、と。結局誰に向けた文章だったのか…2018/12/14
はせがわ
2
単位取れたので。なんだか昔くさい文体ではあるものの、なかなか興味深い導入ではあります。しかし、そもそも幾何や数学に興味を持たないと手に取らない本なのです、かなしいかな。そして難点を挙げるならば、その文体の古臭さよりも、文字の小さいこと!文庫版ではなくもっと大きな版で刷っていただきたいものです。2018/12/05
cava
2
圧倒的良書で数学コンプ脱却しようと日々ウンウン唸ってるぼくでも面白く読めたし、他著作「幾何のおもしろさ」とかも読んで見たくなりましたし、幾何はなによりもとっつきにくい印象で文系寄り人間だけど、論理的な厳密性の追求は大事だと再認識させてもらった 2018/08/23
ハム太郎
2
第一章では『図形の科学としての平面幾何』を扱い、直感的に自明と思われる定理の証明から始まり徐々に複雑な定理へと進み、『九点円の定理』、『シムソンの定理』、『フォイエルバッハの定理』といった深遠な定理まで辿り着く。幾何学のおもしろさを十分に堪能できる。第二章では、平面幾何を扱う三つの立場、すなわち『図形の科学としての平面幾何』、『ユークリッド原論』、『ヒルベルト幾何学の基礎』の違いについて解説。2013/03/13