内容説明
世界一の熱帯雨林をもつ東南アジアを皮切りに、南北アメリカ大陸、環ヒマラヤの大斜面からヨーロッパを経て、失われたアフリカの森まで―四〇年間にわたり地球を縦横に歩いてきた生態学者は、世界の森の今を、人と自然の営みの関係をどう見ているか。エコツーリズムの各国報告や森をめぐる世界の動きを豊富な写真をまじえて語る。
目次
プロローグ―エコツーリズムと森世界
1 原始の静けさ、泰然たる熱帯雨林―島嶼部東南アジア
2 モンスーン林は優良材の宝庫―大陸部東南アジア
3 消えゆく原生林、大木への憧れ―北アメリカ
4 地球最大の森アマゾン―ラテンアメリカ
5 雪山のふもと、大斜面の森―中国からヒマラヤの東へ
6 人工空間の中の森―ヨーロッパ
7 乾燥の大陸にて―アフリカ
著者等紹介
山田勇[ヤマダイサム]
1943年京都府京都市生まれ。京都大学大学院農学研究科林学専攻博士課程修了(農学博士)。これまで40年間、計91回にわたって世界の森を歩き、生態学的な調査と共に森とその周辺に生活する人々の暮らしの変化を観察してきた。専攻は森林生態学。京都大学東南アジア研究所教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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翔亀
38
【シリーズ森14】熱帯雨林の本につい手を伸ばしてしまうのは、しばらくは行こうと思っても行けないから、せめてでもヴァーチャルでという思いがあるからだろう。しかし純粋な熱帯雨林はこの地球上から姿を消してしまうのではないかという思いが一連の本を読むにつれて強くなってきてしまった。本書の著者は、東南アジアの熱帯雨林の研究者(生態学)。南米・アフリカとともに熱帯雨林の三大拠点の一つだ。しかしその中心のインドネシアやフィリピンの熱帯雨林は、1960年代からほとんど開発の手が入り伐採し尽くされて↓2021/05/09
香菜子(かなこ・Kanako)
10
世界森林報告。山田勇先生の著書。世界中の森林を訪ね歩き、世界の森林事情をわかりやすく解説している良書。山田勇先生の森林、森林保護、自然環境保護に対する情熱が感じられます。 2018/07/19
海星梨
4
「人の話じゃなくて森の話を書いてくれ」と悲しくなりました。森の大切さを説きながら、しかし、こういう生態の木がありますとか、それがどういう虫と共生してますとか、こういう動物がいますとか、それらがどんなにユニークですとか、一切ないです。誘拐されないために顔に点の刺青をいれた女性や、崖の窪みの少しでもたまった土に作物を植える人々の話は胸に響きます。しかし、森と共生したり側に住む人たちの話であって森の話ではないでしょう。エコツーリズムの話も結構ですが、森についての記述が余りにも少なく、結局人間主体に陥っています。2019/10/22
takao
2
ふむ2024/04/01
うたまる
2
「熱帯雨林という森林を研究している以上、東南アジアだけでなく、世界の場を見てみたいと思っていた。アマゾンだけでなく、アフリカも見たいし、さらにはその熱帯林をとりまくサバンナも見たい」……という訳で、実際に世界中の森林を見て回った森林生態学者によるレポート。いや、レポートいうより紀行文の方が近い。とにかく延々と「○○年に○○教授と○○へ行った」的な記述で覆い尽くされ、特に森林についての新しい知見は得られない。恐らくほとんどの読者も「何だこれ?」状態になるだろう。定年を前に書かれた”思い出文集”と理解すべき。2017/11/04