出版社内容情報
相次ぐ大型倒産.戦後最悪の失業率.大失業時代の到来が言われるが,欧米に比較して低い失業率はなぜか.求職意欲喪失者の存在に着目し,全部雇用概念を復活させて日本の雇用構造の特質を分析した画期的労働社会論.
内容説明
あいつぐ大型倒産。戦後最悪の失業率。大失業時代の到来が言われるが、欧米に比較して低い失業率はなぜなのか。就業を希望しても求職しない「求職意欲喪失者」の存在に着目し、「全部雇用」概念を復活させて日本の雇用構造の特質に迫る。日本的雇用システムの解体を加速させる規制緩和が進行するなか、日本の雇用はどうなるのか。
目次
序章 雇用不安の時代
第1章 日本の失業率の特異性
第2章 低失業率をめぐる理論
第3章 「全部雇用」成立の論理
第4章 「全部雇用」の衰退とその影響
終章 「全部雇用」を維持して改革を
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
akira
27
まちライブラリー府立大本。 タイトルが気になった一冊。だが内容は1990年代後半と古め。山一證券の破綻など暗いニュースが多かったこの頃だが、その後に待ち受ける不況は想像以上だったかもしれない。 様々な場所で言われているが、日本の失業率は世間がイメージするそれとは異なる数値である。そんなものを喧伝するマスメディアにも違和感を覚えるが、では実体はどうなのか?加えて諸外国のものとも異なっているということに驚いた。 「オイルショックのような大きな経済的インパクトにたいして失業率が敏感に反応しない」2020/09/29
アルゴン
2
★★★★ 日本の失業率がかつて低かった理由が全部雇用であるというのは薄々感づいていましたが、女性の雇用が流動的であることがそれを支えているというのは気づきませんでした。男女平等が形の上だけでも進みかつ不景気な現在、雇用のあり方が見直されるのは当然か。2011/09/15
Toshiyuki S.
0
「全部雇用」という概念を掘り起こすことで著者は日本の失業率が国際的に見て著しく低いことの説明を試みる。「全部雇用」のもとでは大企業正規従業員、中小企業正規従業員、自営業主の妻がそれぞれ専業主婦、パートタイマー、家族従業者となり、とりわけ後二者の働き方の柔軟性が不況期における失業率の上昇を抑えている。著者によると「全部雇用」は徐々に衰退しているという。また「全部雇用」に頼り社会保障の充実を怠ってきた日本では、「全部雇用」の衰退にともない福祉社会の持続が困難になるであろうことが指摘されている。2013/01/17
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