出版社内容情報
京都の市中・郊外の名所や風物を描いた洛中洛外図屏風.伝存する作品のなかで,屈指の名品は狩野永徳の代表作とされる上杉家本である.だが近年,狩野永徳作を疑問視する学説が登場して,日本中世史・美術史を巻き込む大論争が勃発した.絵画史料解読の開拓者である著者がこの謎に挑み,歴史研究の醍醐味を存分に示した快著.
内容説明
京都の市中・郊外の景観を描いた洛中洛外図屏風の中で、屈指の名品は狩野永徳作と伝えられる上杉家本。だが近年、通説を疑問視する学説が登場し、学界に大論争を巻き起こした。絵画史料解読に精力的に取り組んできた著者がこの「謎」に挑み、研究史をふまえた推理の過程を提示する。歴史家の謎解き作業を示す知的刺激にみちた好著。
目次
1 「謎」としての上杉本洛中洛外図
2 洛中洛外図の探究案内
3 研究史とその諸画期
4 「1547年の京都」説と反論・批判
5 「公方の構想」説と推理の立脚点
6 貴人の大行列と最初の仮説―永禄四年十二月二十三日
7 疑問と再考
8 史料の発見と「謎」の解決―永禄八年九月三日と天正二年三月
9 結論と新たな旅立ち