出版社内容情報
天皇制はなぜ続いたのか――かつて足利義満の天皇位簒奪計画をあとづけた著者は,さらに戦国期,信長時代と,天皇と武家の王権をめぐる相剋過程を追い続けてきた.本書はその成果を集大成し,秀吉・家康の統一政権成立における公武関係の決着点を解明する.日本史上最大の問題ともいうべき課題に挑んだ意欲的な試みである.
内容説明
最強の武権政府=江戸幕府はなぜ天皇制を廃止しなかったのか?秀吉から家康にいたる統一政権成立期の朝幕関係を克明にあとづけるなかに、ダイナミックな歴史像と様々な興味深い論点が浮かび上がる。足利義満の皇位簒奪計画の解明からはじまって、「天皇制はなぜ続いたのか」という課題に挑んできた著者の集大成がここに示される。
目次
序章 「俄の御譲位」事件
2 秀吉はなぜ関白となったか―統一戦争と天皇
3 秀吉の“王政復古”―天下一統の論理とは
4 家康政権の“天下分け目”―関ケ原と大坂陣の間
5 宗教的権威への挑戦―神号と紫衣をめぐって
6 女帝騒動―後水尾天皇の反撃
終章 王権回復への道
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yamahiko
14
読物として純粋に楽しめました。いつの時代にの権力者にとっても、天皇という権威を無視し得なかったという事実こそ、日本人の精神性を象徴しているように感じました。権威も権力も、少し滑稽で、少し哀しい。2018/06/14
kyoko
8
武家政権は、武家だからこそ天皇の権威を必要としていた。逆に天皇は権力ではなく権威だからこそ政治に利用されていた、と。そのまま今日に通じるのではないか。誠実な人柄であればあるほど、政治に翻弄されている現実がおいたわしい。2017/12/20
akiakki
6
武家の権力と朝廷の権威のバランスで成り立っていたことがよく分ります。権威の取り扱い方は足利、織田、豊臣、徳川それぞれ権力を振るう側で様々異なりますが、権威を完全に従えた権力はついに存在しなかったようです。封建社会の完成系と言われる江戸幕府ですら日光東照宮詣を流行らすことができず、お伊勢参りが大ブームなったのはその象徴に見えました。また朝廷の説明がない教科書通りの記述では秀吉がなぜ関白になったのかは絶対に分かりませんね。2022/04/16
hyena_no_papa
5
古代史と天皇は切っても切れない関係で、様々な論考を数十年にわたって読み漁ってきた。また近現代、特に戦争と国家についても幾許かの関心を持つ者として天皇制について考えることは避けて通れない。しかし凡そ7世紀に亘る武士の時代と天皇との関係については疎いままであった。たまたま本書の名を見かけて躊躇なく手に取る。中世以降は古代に比べて史料も格段に多く全体の理解は容易ではないが、読んで難渋するほどでもない。一言で言えば武家と天皇は相利共生であり、本邦独自の進化を見せたガラパゴス王政と称せるのではないかと思った。2022/12/14
讃壽鐵朗
3
政治に関わる話で興味湧かず2015/05/19