岩波新書<br> 西行

岩波新書
西行

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  • サイズ 新書判/ページ数 245,/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004302773
  • NDC分類 911.142
  • Cコード C0223

出版社内容情報

桜に生き,桜に死す… 西行といえば花.さらに旅から旅への漂泊の人として,世を捨てた隠遁の人としても,さまざまの神話に彩られている.西行ほど憧れと親しみを抱かれ続けてきた歌人はいない.西行の代表的な歌を読み込み,全国の遺蹟を訪ねることを通して,虚実の相乱れる西行神話を解体し,日本文学史上に燦然と輝く歌人の心に迫る.

内容説明

桜に生き、桜に死す…、西行といえば花。さらに旅から旅への漂泊の人として、世を捨てた隠遁の人としても、さまざまの神話に彩られている。西行ほど憧れと親しみを抱かれ続けてきた歌人はいない。西行の代表的な歌を読み込み、全国の遺蹟を訪ねることを通して、虚実の相乱れる西行神話を解体し、日本文学史上に燦然と輝く歌人の心に迫る。

目次

第1章 桜に生き、桜に死す…
第2章 武門からの出立―略伝(一)
第3章 円寂への旅路―略伝(二)
第4章 西行伝説
第5章 同質性を求めて
第6章 晩年と無
第7章 西行以後

著者等紹介

高橋英夫[タカハシヒデオ]
1930年東京に生まれる。1953年東京大学独文科卒業。文芸評論家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

109
西行の姿を多面的に浮かび上がらせる内容の豊かな本だった。出家後西行は聖の世界に安住したわけではないことが分かった。政治的な目的で旅をしたこともあったらしい。聖と俗の世界のはざまで生きたことが自分の内面へ目を向け、優れた歌を詠むきっかけになった。6章で紹介される晩年の「たはぶれ歌」と「地獄絵を見て」の違いが面白い。前者は子供の遊びを詠んだ澄みきった世界で、後者は悲惨極まりない情景を正面から描いている。晩年に美と醜の両極を描き切った西行は、死ぬまで僧というより表現者だったのだろう。2014/09/14

つねじろう

78
凄く心の感度が高く感情量の多い人だったんだと思う。血筋も良く裕福な家庭で育ち六尺近い美丈夫で弓馬を取れば流鏑馬のチャンピオン。エリートの北面の武士で女御更衣にモテまくって何の不満があるのって感じなのに彼の心は満たされない。これじゃない違う違うと心の中で叫んでいたのだろうか?ミステリアスに23歳で出家した隠棲と漂泊の55年間を彼の歌と共に辿る。「いつの間に長き眠りの夢さめて驚くことのあらんとすらむ」花鳥風月に自分の心をダイナミックに詠い込み続け希望通り桜と共に逝けた事で彼の魂が鎮まった事を祈りたい。2016/03/25

まさむ♪ね

42
《そらになる心は春のかすみにて世にあらじとも思い立つかな》西行は旅にでる、こころの旅に。それは過酷で気の遠くなるような長い長い旅になるだろう。自分の心と向き合うことほど孤独で苦しいことはない、寂しさも迷いも愚かさも、そういったものすべてをかかえていく旅だ。いったい彼はどれほどの時をかけて自らの内面をみつめつづけてきたのだろう。そそがれた永い時は永遠の歌となって表出する、美しくちるあの桜の花のように。《願はくは花のしたにて春死なんそのきさらぎの望月のころ》2016/02/11

松本直哉

24
象徴主義やら仮象(シャイン)やら、今の時代の用語を不用意に使って論じていて、結局自分の批評的立場を西行に投影しているだけのような気がする。保元平治の内乱に際してどちらの側にもコミットしなかった点を非政治的態度と評するが、いや、どちらにも与しないことこそが西行にとって政治的であり、著者の言う「中間者」として、聖と俗の、定住と漂泊の、貴と賤のあいだに生きる存在だったのではないだろうか。同行の僧として何度も歌に登場する西住との歌のやり取りはほとんど同性愛(これも現代の概念に過ぎないが)に近づく。2021/11/29

サラダボウル

15
平清盛と同い年。若き日の同僚でもある、武士同士。彼は出家して「西行」となる。ドラマを観ていて、あの百人一首の西行かと愕然とする。和歌に全く詳しくないけれど、百人一首はなんとなくわかる。その選でないが心に残ったもの。「世の中を捨てて捨て得ぬ心地して都離れぬ我が身なりけり」「吉野山谷へたなびく白雲は峯の桜の散るにやあるらん」2022/03/20

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