出版社内容情報
複雑な約束事やしきたりによって,難解と思われがちな日本舞踊.だが名人たちの踊りには,名人ゆえに聞こえてくる身体の声がある.踊りの中からその声が聞こえてきたとき,舞踊は見る人の心を捉えて離さぬものになる.その声を聞くことこそが舞踊の魅力なのである.鑑賞のための基礎知識から名人たちの究極の奥義まで,舞踊の世界が展開する.
内容説明
複雑な約束事やしきたりによって難解と思われがちな日本舞踊。しかし名人たちの踊りには、名人ゆえに聞こえてくる身体の声がある。踊りの中からその声が聞こえてきたとき、舞踊は見る人の心を捉えて離さぬものになる。その声を聞くことこそ、舞踊の魅力である。鑑賞のための基礎知識から名人たちの究極の奥義まで、舞踊の世界が展開する。
目次
第1部 日本舞踊とは(舞踊と人間―身体の声;舞踊の用語;舞踊、その歴史)
第2部 舞踊を見る(美しいフォルム―武原はん;人間たちの肖像―七代目三津五郎;物語の絆―歌右衛門と梅幸;振付師の扇―藤間勘十郎;お腹どす―井上八千代;舞踊の窮極―友枝喜久夫;再び、身体の声について)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
井の中の蛙
6
舞踊の定義は、私にとって、あの身体の声を聞くことに他ならなかった。舞踊を見るたのしみとは、あの身体の声を聞くたのしみであった。(p17)2024/02/20
ソントン
2
あくまで著者の主観が語られていく本なんだけど、そのドライブ感が楽しい。提示される3つの身体について、第一はまだ客観的なものだから分かるのだけれど、第二第三のものについては、もはや目に見えないものなので、著書の感動をもとに類推するしかない。そこがダンス評論の難しいところだと思う。つまりは、観て見なけりゃ分からない、ということなのだ。2014/09/02
OjohmbonX
2
舞踊の歴史と分類と用語の話+現実の舞踊家7人の論評の2段構成。舞踊家でない著者として身体論には踏み込まずあくまで見る側からの分析と感情に留まる点で道徳的で、見る側の言語には踏み込まない点で倫理的でない本。舞踊を語る言葉が足りないのが問題だと著者は言うが、むしろ著者の体験する現実を超えた感動は、舞踊が直接引き起こすのではなく見る側の言語を介してしか生じ得ないという現実への諦念が足りないのが問題だと思う。でも道徳的にすら振る舞えない本だらけの世界では過ぎた文句だ。名人がいかにすごいかを語ってありがたい本だよ。2014/03/29
k_
1
日本の様々な舞踊を通して、目に見える振り、目には見えない物語の精神肚、舞踊を通じて見えてくる舞手の私、という身体の声について。 表情を見せない、動かない、祇園の外に出ない、女にしか舞わせない、私を見せない不自由な京舞についての記述が興味深い。2014/05/28
Sae
0
著者の見解がやや歌舞伎寄りに偏っているように感じましたが・・・2012/11/13