岩波新書<br> 略奪の海カリブ―もうひとつのラテン・アメリカ史

岩波新書
略奪の海カリブ―もうひとつのラテン・アメリカ史

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  • サイズ 新書判/ページ数 227,/高さ 18X11cm
  • 商品コード 9784004300755
  • NDC分類 255
  • Cコード C0222

出版社内容情報

十六世紀から十七世紀にかけてカリブで大暴れした海賊たちとは,スペインから中南米の覇権を奪おうとしたイギリスの先兵であった.以後イギリスは各国の独立を支援しつつ,十九世紀へ向けて,中南米全域に経済的従属を強いていく.砂糖産業,奴隷貿易の話を交えながら,イギリスによる世界市場支配成功の謎を探る.

内容説明

16世紀から17世紀にかけてカリブで大暴れした海賊たちとは、スペインから中南米の覇権を奪おうとしたイギリスの尖兵であった。以後イギリスは各国の独立を支援しつつ、19世紀へ向けて、中南米全域に経済的従属を強いていく。砂糖産業、奴隷貿易の話を交えながら、イギリスによる世界市場支配成功の謎を探る。

目次

プロローグ ロビンスン・クルーソウとエル・ドラード
1 インディアス王国
2 初期のイギリスとエスパニャの関係
3 サン・ホアン・デ・ウルーアを忘れるな
4 全面戦争へ
5 西インドへの進出
6 私掠船と海賊
7 砂糖と奴隷
8 インディアスとイギリス帝国
エピローグ エル・ドラードの発見

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

skunk_c

42
パラ読みしていたものを再読。さすがラテンアメリカ史の泰斗だけあって、簡潔な表記ながら要所はしっかり押さえてある。『世界史を作った海賊』と守備範囲はほぼ同じだが、目配せはこちらの方が古い著作なのにはるかに上。それは地域の歴史に対する視点が定まっているからだと思う。特にブラジル成立の過程におけるイギリスの絡み方と、いわゆる自由貿易帝国主義の成立まで見通しているあたりは目から鱗。それこそ20世紀の「新帝国主義」の原型がすでにここに見える。イギリスの3世紀にわたる戦略が結実していく、もうひとつの大英帝国成立史だ。2019/10/15

金吾

23
○スペインやポルトガルの牙城であるラテンアメリカにイギリスが如何にして勢力を浸透していったのかの歴史が書かれています。経済、戦争、略奪、侵略、外交とあらゆる手段を使っての勢力拡大に大英帝国を作った礎を想像できました。ナポレオン戦争との関係やブラジルの富の独占等すごく面白かったです。2023/11/10

壱萬弐仟縁

7
42ページに色のついた地図があって、ちょっと和んだ。ただ、大航海時代というか、その後の従属論や世界システム論につながるだけに、心中穏やかではないが。18世紀にはバルバドス、ジャマイカで既にモノカルチャーとしての砂糖栽培(141ページ)。砂糖産業は、巨額資本が必要だった(144ページ)。この辺りの話は、時代も地域も違うが、今後TPPに参加するという問題と財は似ており、沖縄周辺の島の地域経済を思わざるを得ない。法外な搾取や奴隷酷使をしないような貿易ルールは築けないのだろうな。やはり、弱肉強食の外交で弱者斬捨。2013/02/22

イソテルス

2
15世紀末の時点ではヨーロッパ最強国家であったスペインとイギリスの立場が3世紀かけて逆転する経緯が、南北アメリカやカリブ海での貿易・略奪を中心に描かれている。イギリスの織物、アフリカの奴隷、カリブの砂糖など、物とお金の流れが地図で示されており、船が物流の中心だった時代には海峡や港がいかに重要視されていたのかよく分かった。その土地を支える主要産業ってものにも興味が出てきた。2013/06/16

サアベドラ

2
大航海時代のカリブ海のヘゲモニーの移り変わりを描いた本。エスパニャ・ポルトガルの独占貿易体制からイギリスが私掠船やアシエント権を駆使して徐々にラテン・アメリカの経済的覇権を奪っていく様がメイン。表題から想像されるバッカニーア海賊の略奪譚は一章を占めているだけ。海賊ものを期待して手にとっただけに少し残念。まあ、この時代はそれ自体がものすごく面白い(というか個人的に好き)ので楽しめたけど。2006/03/27

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