出版社内容情報
『君たちはどう生きるか』の著者吉野源三郎氏(一九八一年没)は,新潮社,岩波書店で編集者として活動した.戦前,岩波新書創刊に携わり,戦後は雑誌『世界』編集長として日本の出版史に独自の足跡を残した.その回想の記録を編む本書は,昭和史の一側面をとらえた貴重な証言であり,また今日のジャーナリズムへの厳しい問いかけに満ちている.
内容説明
『君たちはどう生きるか』の著者吉野源三郎氏(1981年没)は、新潮社、岩波書店で編集者として活動した。戦前、岩波新書創刊に携わり、戦後は雑誌『世界』の編集長として日本の出版史に独自の足跡を残した。その回想の記録を編む本書は、昭和史の一側面をとらえた貴重な証言であり、また今日のジャーナリズムへの厳しい問いかけに満ちている。
目次
1 編集者として(編集者の仕事―私の歩んだ道;ジャーナリストとして;1930年代―岩波新書とペリカン・ブックス;『世界』創刊まで)
2 思い出すこと(原田文書をめぐって;終戦直後の津田先生)
3 歴史と現代(日の丸の話;歴史としての戦後民主主義)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
徒花
138
すごくよかった。人生を変える一冊かもしれない。『君たちはどう生きるか』で再び脚光をあび、岩波新書の創設者の一人である著者の書いたものをまとめた一冊。とはいっても、私に刺さったのは序盤の部分だけで、その後に綴られる天皇制と右翼と左翼の話とかそのあたりは完全にななめ読み。でも、序盤のインパクトがすごい。ただし、このインパクトを感じられるのは現役編集者だけかもしれないし、私だけなのかもしれない。大体の人にとってはとくに何の益にもならない本かもしれない。でもよかった。2021/01/07
ステビア
15
『君たちはどう生きるか』の作者として有名な吉野源三郎の岩波書店時代を振り返ったエッセイがメイン。2020/03/13
夏ねこ
4
本当にたいせつなことを歴史に流されながらも見つめ続けるのは根気がいる。辛いこともあっただろうな。。。でも、自分を生かすために錯誤してきた人は強い。そして何か意気を感じた当時周りにいた人も、現代にいる私も、何かを信じる勇気が出てきたんじゃないかな。2016/01/09
本命@ふまにたす
3
岩波書店などで活躍した編集者、吉野源三郎によるエッセイ。編集者としての裏話にとどまらず、終戦前後の時期を中心に、当時の知識人や政治家などとの関わりが述べられている文章があり、その点が興味深く感じた。2022/12/24
te_R9
3
なぜこの本を手にしたのかあまり思い出せないが,たぶん編集者の仕事に興味があったからだろう.しかし読み終わって思ったことはかなり題名で損をしている!ということである.ハウツー的な編集の話なんてほとんどなかったけど,終戦直後の岩波書店界隈の話に興味津々で読み進んでしまった.特に雑誌『世界』への津田左右吉の天皇制に関する掲載論文をめぐる著者と津田との一連のやり取りは昭和秘史という感じでとても興味深く読めた.近代史に興味があるならこの章だけでも必読である.2011/10/06