出版社内容情報
一枚岩の党,その一党による強権的な支配,社会主義国同士の武力衝突…….社会主義の現実は,人間解放,国家の死滅といった革命の理想から大きくかけ離れている.何がこの乖離を生んだのか.スターリン体制への転機となった一九二○‐三○年代のソ連政治を見直しつつ今日の「ペレストロイカ」の意義を考え,社会主義再生への道をさぐる.
内容説明
1枚岩の党、その1党による強権的な支配、社会主義国同士の武力衝突…。社会主義の現実は、人間解放、国家の死滅といった革命の理想から大きくかけ離れている。何がこの乖離を生んだのか。スターリン体制への転機となった1920―30年代のソ連政治を見直しつつ今日の「ペレストロイカ」の意義を考え、社会主義再生への道をさぐる。
目次
第1章 ロシア革命70年(社会主義;思想・運動・体制)
第2章 ナショナリズム(いまなぜナショナリズム;ロシア革命と民族問題;一国社会主義;ナショナリズムを超えて)
第3章 国家(問題の所在;なぜ「党」を問題にするか?;1党支配;1枚岩としての党;党の「国家化」;社会から国家へ)
第4章 現代社会主義(ロシア革命―「2重の性格」;スターリン主義;非スターリン化)
第5章 展望(E.H.カーのロシア革命観;歴史的展望のなかの社会主義)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
24
社会主義に共感していた人びとによってとりわけ深刻になされている問いかけは、たんなる概念の整理や定義の厳密化の問題ではない。社会主義の史的アイデンティティの喪失、社会主義に対する懐疑と絶望の別な表現(7頁)。一枚岩主義:民主主義的中央集権主義が不可欠の前提としている 多様性を排除。この下では統合は超越的権威により達成される(118頁)。社会主義と人権:市民社会で確立された近代的個が集団的・社会的なもの、自覚的公共性の構成単位となることが自明な前提とみなされていたコールの理論(186頁)。2015/07/20
とーとろじい
2
スターリンは国際主義からナショナリズムへ、社会から国家へという二つの転換によって、「一枚岩主義」と名付けられる固定的な官僚制と排他的な権威主義を成立せしめた。著者は1920年代の政治状況を顧みることでレーニンとスターリンの差異を明らかにし、前者に胚胎していた民主主義的社会主義の可能性を開こうとする。社会主義とナショナリズムの結託が歴史的産物に過ぎないのはわかるが、理性が国家を超越するというのは本当に可能だろうか。人の欲望を等閑視した、その見通しに関してはユートピア的思考を嗅ぎ取らないわけにはいかない。2021/10/11
かじやん0514
1
いろいろ勉強になった。図書館で借りてさらっと読んだだけなので、古本で買ってじっくり読みたい。2013/11/06
丰
1
Y-202008/01/24