出版社内容情報
時代は戦争に向かって走っていた.昭和十二年春,中学一年生のとき手にした『モンテ・クリスト伯』の復讐奇譚が著者を本の世界の魅力に引きずり込む.言葉も交わせぬ異性の心をフランス文学のなかに探り,紅灯の巷を荷風の小説とともにさまよう.――軍靴の足音近づく昭和十年代の青春体験を,万感あふれる思いをこめて語り綴る.
内容説明
時代は戦争に向かって走っていた。昭和十二年春、中学一年生のとき手にした『モンテ・クリスト伯』の復讐奇譚が著者を本の世界の魅力に引きずり込む。言葉も交わせぬ異性の心をフランス文学のなかに探り、紅灯の巷を荷風の小説とともにさまよう。―軍靴の足音近づく昭和十年代の青春体験を、万感あふれる思いをこめて語り綴る。
目次
復讐は神の怒り―『モンテ・クリスト伯』
少年の日のリリシズム―『銀の匙』と『桑の実』
海と風―モーパッサン『ピエルとジャン』その他
時は過ぎゆく―田山花袋をめぐって
愛の妖精―ジョルジュ・サンド
軍靴の遠い跫音―『生活の探求』の周辺
虚無とロマンと―ツルゲーネフ『父と子』と『初恋』
「うしろつき」のいい女―水上瀧太郎の三つの顔
純粋の「愛」を求めて―女学生たちのジイド
紅灯の街へ―『〓東綺譚』考
真夏の『雪国』―川端康成の少女たち
運命の予告―『西部戦線異状なし』