出版社内容情報
いま広範な学問・芸術領域から熱い視線を浴びている「記号論」.それは言語や文化の理解にどのような変革を迫っているのか――.ことわざや広告,ナンセンス詩など身近な日本語の表現を引きながらコミュニケーションのしくみに新しい光をあて,記号論の基本的な考え方を述べる.分かりやすくしかも知的興奮に満ちた,万人のための入門書.
内容説明
いま広範な学問・芸術領域から熱い視線を浴びている「記号論」。それは言語や文化の理解にどのような変革を迫っているのか―。ことわざや広告、ナンセンス詩など身近な日本語の表現を引きながらコミュニケーションのしくみに新しい光をあて、記号論の基本的な考え方を述べる。分かりやすくしかも知的興奮に満ちた、万人のための入門書。
目次
1 ことば再発見―言語から記号へ(記号とは、符号とは?;「言語創造」 ほか)
2 伝えるコミュニケーションと読みとるコミュニケーション―伝達をめぐって(コミュニケーション;伝達の仕組み ほか)
3 創る意味と創られる意味―意味作用をめぐって(記号と意味作用;分節と意味作用 ほか)
4 記号論の拡がり―文化の解読のために(記号の「美的機能」から芸術記号論・詩学へ;文化記号論へ向けて)
著者等紹介
池上嘉彦[イケガミヨシヒコ]
1934年京都市に生まれる。1961年東京大学大学院博士課程修了。専攻は言語学、英語学。現在、東京大学名誉教授、昭和女子大学教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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(haro-n)
94
非常に面白かった。記号の仕組みを言語をベースに言語以外の様々なものにまで敷衍して説明する。人間のあらゆるものが記号になり得るとし、文化記号論の、批判の学としての意義に至るまでを語っている。私は、美的メッセージの記号が持つ豊かな意味作用に関心を持った。子供の頃、西洋の子供に「さようなら」という響きの美しさを指摘されたことを思い出した。そして、いつの間にその音が表す美しさの秘密を自分なりに解明しようとしていた。「さようなら」という言葉の意味(別れの挨拶)がより肯定的な特別なものへと昇華されるような気がした。2018/06/17
サイバーパンツ
25
記号論の良い入門書。基本的な説明だけでは、記号論の世界はなかなか捉えにくいが、分かりやすい例をたくさん上げて解説してくれるので、初学者でも安心。記号論の射程範囲の広さに驚くと共に、マクルーハンやボードリヤール、ラッセルなどに触れる前に、こっち読んでた方がもっと早く理解できたなと少し後悔。人文系の学問が好きな人は、とりあえず早めに読むことをおすすめします。2016/10/03
ヴェルナーの日記
23
本作を読みイメージしたのは、ヨハネの福音書の言葉「初めに言があった。言は神と共にあった。言は神であった。この言は初めに神と共にあった。全てのものは、これによってできた。できたもののうち、一つとしてこれによらないものはなかった。この言に命があった。そしてこの命は人の光であった」である。普通「記号論(記号学も含め)」の本はソシュールやパース、ロラン辺りの解説が定番だが、彼らが使う専門用語をなるべく使用せず(たぶん意図的)に「記号とは何か」をミクロ的・マクロ的視点から、その概要を解説した入門者必読の書。 2013/07/09
白義
17
昔はくっそ地味だなあと思ったのだけど今読んだら超絶面白かった。言葉を扱うありとあらゆる人に薦めたい、言語、文化の広野にまたがる学問、記号論の入門書。一章でだいたいの概略が出て、後はそれを分かりやすい例えで何度も反復して内容を馴染ませるので、高度な内容もすんなり入ってくる。言語学や分析哲学、詩や文学の前入門書にもなっていると思う。最終的に文化記号論の入り口まで案内してくれて、いっぱしの記号解読者になれるはず。岩波新書黄版時代の隠れた…と思ったけど結構読まれてた名著2012/06/13
nekozuki
16
超良書。自分がコミュニケーションを取ろうする際に感じていた違和感の正体を掴める気がする。 本書によると、記号論でいう“記号”には、記号表現(実際に表出される物事自体)と記号内容(伝達したい意味)が必要であり、それが有ればさまざまな記号になりうるとのこと。また、記号内容伝達にあたっては、発信者と受信者間でコード(記号表現と記号内容を合致させる特定のルール)が必要。コードは各々の文化で決まったものがある(例えば、ことばの辞書的意味など)が、コンテクスト次第では受信者の解釈が入りうる。また改めて読みたい。2020/12/31