岩波新書
アメリカ感情旅行

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  • サイズ 新書判/ページ数 216p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004151005
  • NDC分類 915.6
  • Cコード C0226

出版社内容情報

アメリカで黄色人種はどのような位置にいるのか――.一九六○年から翌年にかけて,南部と北部の境にあるテネシーの州都ナッシュヴィルとその周辺で半年間過した作家が,人種偏見,黒人差別などの問題をとりあげる.新しくて古い国アメリカの現実を柔軟な姿勢と独自の観点とからとらえた,日記スタイルの実感的アメリカ論.

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さっと

9
いまから60年前のおよそ半年間にわたるアメリカ滞在記。ロックフェラー財団の留学生として著者が滞在した地はテネシー州ナッシュヴィル。人口20万人。北と南の境界州。交通の要衝。南北戦争の激戦地のひとつ。と言われても読者もピンとこないし、著者だって「アメリカを見るになんでわざわざこんなところに」と言ったり言われたりで非常にふわふわしている。トリトメガナイのである。しかしながら、このおもしろさはなんだろうか。外国に身を置いて過ごす日々と自然体で綴られる日記調の記録。緊張と緩和。彼らがとても身近に感じられる。2022/02/21

にゃん吉

8
著者が、1960年~1961年の半年間、テネシー州ナッシュビルを中心として、アメリカに滞在した際の記録。小説家の目(というより、著者の個性的な視点というのが正確かもしれませんが)が日常生活の中から捉えたアメリカ社会、アメリカ人の姿(人種差別、北部と南部の意識、信仰等々)や、言語の壁、異文化に身を置く鬱屈とした心情といった著者自身の内面が、一流の筆致で描写されています。個人的には、なかなかの名著ではないかなと思われました。2020/07/11

イエローバード

5
半世紀以上前のアメリカ南部地方への旅行記。とにかく文章がうますぎて涙が出た。ビフテキとか、今や死語となった言葉も懐かしい。英語が聞き取れずにおどおどする様子は、自分がロンドンを個人旅行したときとまったく同じで、「小学生程度の知能で過ごした」というのはホントそのとおり。読みながら泣き笑い。ケネディ就任演説を滞在中に聞いたとのくだりは、トランプが大統領就任目前の今、アメリカの来し方行く末を考えさせられた。それにしても一緒に渡米した奥さんには感服した。たまに出てくる彼女の言動が最高でした。2016/12/10

hyoshiok

4
二子玉川蔦屋家電、海外旅行、アメリカの棚にあった。アメリカ遊学記、都留重人、とあわせて買った。1960年頃に米国留学した紀行文。当時はまだ黒人の公民権が確立していなかった。XIII章「テント・シティーの周辺」が強烈だった。著者が行った街は、黒人に投票を許していない街の一つだ。そこの有力者が著者にその説明をする。「黒人が7割、白人が3割、彼らに選挙権をあたえたら、市長も市会議員も全部が黒人で占められてしまう。それでは町の政治は成り立たんよ」(中略)「彼らにはそれだけの能力がないからさ」(188ページ)2018/03/30

うな

4
予想以上に面白かった。40代の著者が公民権法制定前夜の中西部に滞在した際の「感情」記録。タイトルを「感傷」と読み違えたいたが、読み進める中で、さまざまな「感情」の海に翻弄される著者の姿に自分の経験が重なっていく。アメリカ人とは不思議な人たちである。2011/08/13

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