出版社内容情報
日清戦争は,日本を「圧迫された国」から「圧迫する国」へ転換させた.その意味で,日本近代史上画期的な戦争であった.アジアの民族同士が戦い,全アジアを近代帝国主義の分割競争にひらき,日本の民衆自身が帝国主義化した自国の政府のくびきにつながれる契機となった「痛歎すべき戦争」の全貌を,東アジア史の中で総合的に解明する.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
AKa
6
日清戦争の開戦前から戦後処理まで、日本国内ならびに対朝鮮政策や、列強との関係から述べている。他方、清からの視点や軍事的な観点からの記述はあまりない。戦後台湾占領における「台湾民主国」による抵抗については知らなかったし、非常に興味がそそられた。それにしても、後方支援の貧弱さはすでに言われていたのだな。2019/07/27
nobody
4
もし私がいくらかの歴史もの新書を読んで得た読後感を誰か事前に教えてくれたなら、私はそれを読まなかっただろう。世には初学者のために判りやすくと企画された本はいくらでもあるのに、何を好き好んで、わざわざ虚構の権威保持に汲々とした、入門者を鞭で打って追い返すような「新書」という部類の本を読まなければならないのだろう。しかも本書は明治前期が対象なのでただでさえ過剰に修辞的な政治軍事文体がさらに古漢文調になっている。新書の本質を最も鋭く衝いているのは熊谷清一郎『火』のあとがきだ。「私も、岩波新書を何冊かもっている。2022/09/14
Moriya Mononobeno
1
この本の出た当時においても日清戦争の解明が十分でないと前書きにある。いまやもう完全に歴史上の出来事となってしまっているのではないか。日清戦争は日本の帝国主義の最初の戦争であり日露、太平洋戦争とつながっていくものである。その解明は大切なことではないのか?2013/12/14