出版社内容情報
「叙事詩」といえばホメロス,「悲劇」といえばアイスキュロスやエウリピデスの名前があげられるように,西洋文化を知るには,これら天才たちの作品に触れ,味読する必要があるだろう.わが国ではとかく縁遠いと思われる古代ギリシアの作品が,実は誰が読んでも面白く,いかにすぐれたものであるのかを懇切に案内する.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mikio
6
人が人に支配されるのではなくて、人が法に従うところに成り立つ自由というもの、法治という言葉で意味されている根本のもの、それがギリシア人の見出した「特有」の自由だったのである。/しかしこのような自由を、バルバロイの王はついに理解し得なかった。そしてそれはクセルクセスだけのことではなく、今日でもこの文明の基礎的事実を解し得ないバルバロイが実に多いのである。かれらは生まれながらの奴隷なのであろうか。(ヘロドトスの章)2020/11/23
Hiro
4
簡便で分かりやすいギリシャ古典入門書。ホメロスとヘロドトス、そして悲劇を扱う。特に面白かったのはヘロドトスの章。歴史を学問として成り立たせる態度、考え方とは何かを易しく的確に述べている。その著「歴史」がどんな本なのかも引用を交え楽しく紹介していて飽きない。ホメロスの2作の紹介も有難い。イリアスよりオデュッセイアの方が現代人には入り易いと言う。悲劇についてでは悲劇の定義が考察され、エートス、パトス、正義、いたましさとおそれ、などの言葉が使われ、有名なカタルシスの話もある。参考文献だけは更新すべきでは? 2022/09/10
ぺんぎん
2
限定復刊版を何となく購入。ホメロス、ヘロドトス、悲劇の三章構成のそこそこディープな入門書。ホメロスはブラピの映画、ヘロドトスはジェラルド・バトラーの脳筋映画、悲劇はオイディプス王の粗筋しか死らない人間が読んでみて面白い書であった。悲劇の章はアリストテレスの解説を読み解いているので、半分も理解できなかったので再読したい。前二章はイリアスの戦闘描写に平家物語に通ずるものを感じ親しめた。原作にチャレンジしたことのあるヘロドトスは脇道逸れまくりの理由が知れ、当時の人の世界観を伺い知ることができた。2021/08/15