出版社内容情報
雪の研究で世界的に有名な著者が,平明懇切に雪の科学について語る.雪と人間生活との関係から始まり,有名な「人工雪」の出来るまでの過程を詳細に述べる.本書は,身近な自然現象に対して,先入観や固定観念にとらわれず科学的方法や思考で対象に迫るとはどういうことかを明快に示す好著として長く読みつがれてきた.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
バニラ風味
13
まずは、雪による災害の事例と検証。積雪地方の雪降ろしにかかる、多額の費用についての考察。第二章として、雪の結晶を研究し、写真集を出版したベントレーについて。そして、雪とは、そもそも何であるか。と、雪の種類に基づく、結晶のあれこれ。著者が実際に十勝岳で行った、人工雪の実験について書かれています。昭和24年に記されたものなので、いふ、用ひている、分かつた、のような文章に、時代を感じます。が、雪に興味を持ち、一途に研究した姿勢に、そのお人柄が偲ばれます。2018/06/18
北六
1
雪の結晶という,北国に暮らす者にはあまりにも平凡な研究対象.時代背景もあり「結晶を捕獲して壊さないまま顕微鏡観察」という単純作業の繰り返し.人工雪の核の生成もタイプによっては5時間もかかるという.しかしその集大成は高層大気の状況推察を可能にし,世界の先端の雪結晶の見識となる.日常的なテーマを用いて科学者の研究姿勢や執念を存分に語る.2023/12/10