出版社内容情報
『アメリカの民主主義』『旧制度とフランス革命』で知られるフランスの政治学者・歴史家トクヴィル(一八〇五―五九)が一八四八年フランス二月革命という激動の時代と社会を克明に描いた出色の回想録.特に当時,外相という要職にあった彼が,同時代の政治的指導者の容姿から考え方にいたるまで活写した数々の人物描写は圧巻.図版多数.
内容説明
『アメリカの民主主義』『旧制度とフランス革命』で知られるフランスの政治学者・歴史家トクヴィル(1805‐59)が1848年フランス二月革命という激動の時代と社会を克明に描いた出色の回想録。特に当時外相という要職にあった彼が、同時代の政治的指導者の容姿から考え方にいたるまで活写した数々の人物描写は圧巻である。図版多数。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
30
1850年7月初出。革命というものは民衆の激情によって実現するもので、渇望されるもの。偶然によって危機的状態へと導かれることで自然発生的に起こる(63頁)。一人は財産の不平等をうちこわせと主張。他の一人は知識の不平等をなくせと。第三の者は、最も古くからの男女間の不平等をなくすことを計画。貧困への特効薬、人類発生来の労働による弊害対策も指摘された(131頁)。これらは今なお、現代日本の課題でもあることに驚かされる。 2015/04/27
松本直哉
20
自身は貴族階級出身ながらも、共和制への共感を持ち、しかし急進的な革命派の無秩序からは距離を置くトクヴィルが、二月革命とそれに続く激動の日々の、文字通り渦中にあって、砲声と阿鼻叫喚の中で自らも身の危険にさらされながら生きる日々の記録。友人や政敵の人物像の描写がみごと。「どろんとした目」のルイ・ナポレオンに不信感を抱きながら、彼のもとで外相を務める。無力感、開けない灰色の展望、共和制への遠い道のり。マルクスのブリュメール18日とは全く違う視点から二月革命を見ることができた。2014/12/29
さきん
16
著者の政治に対する苦悩が伝わってくる。彼自身は貴族の出で地方の名士であるが、ある共和制に賛同し、実際に要職も務める。しかし、偶然、気まぐれから起こる革命騒ぎに何回も巻き込まれて、いやというほど無能な大衆、政治家、軍人を見ることになる。2016/03/30
Ex libris 毒餃子
10
トクヴィルの革命回想録。マルクスの『ルイ=ボナパルトのブリュメール18日』の少し前の話だが、ナポレオン3世が大統領時代の話もある。トクヴィルは外相として彼に使えているが、あまり高評価じゃないのが印象的。ルイ=フィリップ、ティエールが歴史の表舞台から消えていくさまも物寂しい。第二共和制のゴタゴタ感からの第二帝政以降はさもありなん、と思えてしまう。2017/10/27
Saiid al-Halawi
5
六月蜂起あたりの臨場感と同時代性が一番の見どころ。「しかし私はカヴェニャックに加担することに決心する、私の根拠、ルイ・ナポレオンは私には共和政の最悪の終着点のように思われ、私はそれに加担したくなかった。」p.4612013/09/13